著者
柿澤 寿信
巻号頁・発行日
2017-05

生徒と教員の性別の組み合わせ(Gender matching)が、生徒の学習成果に何らかの影響を及ぼす可能性が、多くの先行研究によって指摘されている。また、学習成果に対する生徒の質問行動の影響や、その質問行動に対する性別の組み合わせの影響などについても、多くの先行研究がすでに様々な検討を行っている。そこで本研究では、日本の中学1年生から3年生までの各学年につき、「平成15年度教育課程実施状況調査」の個票データを用いて、これらの関係を計量的に分析した。その結果、①教員が同性である場合に成績が多少向上する傾向が見られ、それは女子においてより顕著であること、②性別の組み合わせの効果が最も顕著に表れるのは英語であり、次いで数学・理科であること、③性別の組み合わせは生徒の質問行動に影響を与えていること、④女子の成績に対する女性教員の効果の一部は、質問行動に起因している可能性があること、および⑤質問行動の効果をコントロールしても、女子の成績に対する女性教員の正の効果は残ること、などが明らかになった。