- 著者
-
河野 公子
生和 良の
長洲 祐子
近藤 純子
鈴木 知子
浦川 由紀子
當銘 良也
本間 洋州
栁内 秀勝
石川 俊男
- 出版者
- 公益社団法人 日本栄養士会
- 雑誌
- 日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
- 巻号頁・発行日
- vol.57, no.9, pp.672-676, 2014 (Released:2014-08-23)
- 参考文献数
- 7
本研究の目的は、神経性無食欲症(AN)患者の実測した基礎代謝量(BEE)とHarris-Benedict の式(HBE)により算出したBEE および日本人の食事摂取基準2010(DRI)に示されている基礎代謝基準値により算出したBEE とを比較検討することである。AN患者23人[制限型(ANr)13人、むちゃ食い/排出型(ANbp)10人、性別男性3人、女性20人、年齢18~57歳]を本研究の対象とした。ANr症例では、BEE が300 kcal/day から1,000 kcal/dayと広い範囲であるのに対し、ANbp症例では600 kcal/dayから1,000 kcal/dayの範囲であった。 ANr症例では、チェスタックによる実測BEEと比べて、HBEにより算出したBEEでは、有意に高値を示した(P<0.025)。しかし、DRIから算出したBEEとの間には統計学的に有意な差は見られなかった。ANbp症例では、チェスタックによる実測BEEと比べて、HBEにより算出したBEEは有意に高値(P<0.025)を示したのに対し、DRIから算出したBEEでは統計学的に有意な差は見られなかった。これらの結果から、チェスタックによるBEEの実測が不可能なAN症例のBEEの推定にDRIにより算出したBEE値が利用できると考えられた。