著者
斎藤 徹 白波瀨 龍一 砂川 裕亮 松下 祐也 髙橋 耕一 牧野 秀樹 山崎 裕 栂安 秀樹
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.233-239, 2020-12-31 (Released:2021-01-28)
参考文献数
15

当院の高齢者に対する歯科訪問診療を評価することを目的として,高齢者の歯科訪問診療症例と外来診療症例の年齢分布および歯科治療の内訳を比較した。当院が2011年1月~2019年12月の間に歯科訪問診療および外来診療を施行した新患症例はそれぞれ6,303例,10,014例であった。これらの症例中,65歳以上の高齢者の訪問診療および外来診療症例はそれぞれ5,753例(91.3%),1,806例(18.0%)であった。訪問診療では外来診療と比較して,歯周治療(60.7% vs 88.1%),義歯新製(28.0% vs 46.7%),抜歯(20.3% vs 45.6%),歯冠補綴(4.4% vs 50.6%),インレー修復(0.5% vs 17.4%),レジン・グラスアイオノマー充塡(21.9% vs 56.1%),抜髄(2.0% vs 18.9%)および感染根管処置(1.7% vs 20.5%)を行った症例の割合が有意(p<0.001)に低かった(歯科治療内容の重複症例あり)。他方,義歯調整・修理(32.5% vs 16.7%)および摂食機能療法(18.5% vs 2.0%)を施行した症例の割合は訪問診療では外来診療と比較して有意(p<0.001)に高かった。 高齢者に対する歯科訪問診療でも多様な歯科治療が行われており,外来診療と比較して義歯調整・修理および摂食機能療法を施行した症例の比率が高く,咀嚼や摂食嚥下機能に問題がある症例が多かった。しかし,その他の治療を行った症例の割合は歯科訪問診療では外来診療と比較して低かった。