著者
阿部 貴恵 近藤 美弥子 岡田 和隆 亀崎 良介 和田 麻友美 北川 善政 山崎 裕
出版者
北海道歯学会
雑誌
北海道歯学雑誌 (ISSN:09147063)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.127-131, 2014-03

口腔内セネストパチーは,口腔内の異常感を奇妙な表現で執拗に訴える病態で,難治性の疾患とされている.今回,口腔内にさまざまな異物の存在を訴え続けた75歳の女性に対し,心身医学的対応により症状の消失までには至らなかったものの,寛解が得られた症例を経験したので報告する. 主訴は,口の中から砂が出てきて口内全体に張り付くであった.カンジダ除菌後,口内には口腔乾燥以外の異常所見を認めなかったが,以後,「丸い塊」「フイルム」「六神丸」「セロハン」「ブドウ」様の異物が口内に出現すると感じるようになり,それを吐き出さずにはいられず,外出も困難になった.向精神薬や抗うつ薬を投与したが効果なく,精神科に紹介したが具体的な治療は行われなかった.当科での治療を引き続き希望したため,薬物療法は止め,発症の契機が疑われた長男の嫁との不仲を和解させ,好きなパチンコに行けるように生活指導を根気よく行ったことで,異物は完全には消失していないものの,症状は改善した.
著者
三上 翔 小林 國彦 柏﨑 晴彦 中澤 誠多朗 小田島 朝臣 大内 学 山崎 裕
出版者
北海道歯学会
雑誌
北海道歯学雑誌 (ISSN:09147063)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.150-156, 2016-03

今回,パラジウム(Pd)とニッケル(Ni)の金属アレルギーが疑われた45歳女性患者が,近医歯科にて口腔内の金属を除去された後,重篤なアレルギー症状の増悪(flare-up)とみられる倦怠感,発熱,顔面の浮腫,皮膚の剥離などを伴う全身症状を呈した症例の紹介を受けた.そこで膠原病内科との連携で,ステロイド投与下に残りの金属修復物の除去や感染根管治療を安全に行い,非金属に置換することで良好な結果を得た症例を経験したので報告する. 初診時,手掌および顔面皮膚に軽度の浮腫性の腫脹を認め,口腔内には6歯に金属修復物を認めた.口腔粘膜には発赤,腫脹等の異常所見は認めなかった.翌日,膠原病内科入院下にヒドロコルチゾン100mgとd−クロルフェニラミン6mgを予防投与された後に来院し,6歯の金属修復物の除去を行ったが,特に異常なく経過した.その後に施行した5歯の感染根管治療後にアレルギー症状が増悪するエピソードが度々あり,膠原病内科からの依頼で,処置前に金属除去時と同様の予防投与を行った.その後はアレルギー症状の増悪は認めなかった.メタルフ リー後半年経過してから,非金属修復物での修復を行った.現在,メタルフリー後約2年経過したが,皮膚症状の再燃なく経過良好である.
著者
小森 浩二 山崎 裕己 古前 竜平 玉登 まき 福田 洋 板橋 司 菊田 真穂 高田 雅弘 宮﨑 珠美 中野 祥子 三田村 しのぶ 首藤 誠 山本 淑子 塙 由美子
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.186-192, 2014-03-10 (Released:2015-03-10)
参考文献数
12

Loxoprofen (Loxonin®) is a widely administered non-steroidal anti-inflammatory drug (NSAID) in Japan, with annual sales exceeding 50 billion Japanese yen. Although it is a very versatile drug and is often administered to breastfeeding women, the information available regarding its mammary gland transfer is inadequate.Therefore, in this study, we analyzed loxoprofen levels in the blood and milk of four breastfeeding women who received the drug for pain relief. These women visited the Obstetrics and Gynecology Department of Hanwa Sumiyoshi General Hospital for consultation or a cesarean section.One tablet of Loxonin® (loxoprofen 60 mg) was orally administered to each of the four women, and blood and milk samples were collected 0, 30, 90, 150 and 330 min after drug administration. Twenty microliters of ethanol was added to the blood and milk samples (10 μL), and the mixture was centrifuged at 12000 g for 15 min. The supernatant was analyzed by high-performance liquid chromatography (HPLC).Loxoprofen levels in blood peaked 90 min after its oral administration in all four patients, with the highest level being 4.5 μg/mL in patient II, whereas loxoprofen level in milk was below the detection limit (0.1 μg/mL) at all time points. Taken together, the data suggest low mammary gland transfer of loxoprofen, and thereby a low lactation risk.
著者
横井 彩 山中 玲子 森田 学 山崎 裕 柏﨑 晴彦 秦 浩信 友藤 孝明 玉木 直文 江國 大輔 丸山 貴之 曽我 賢彦
巻号頁・発行日
2012-04-01 (Released:2013-05-31)

舌の上に白い苔のように付着している汚れ(舌苔)の面積と、口の中のアセトアルデヒド濃度について、健常者65人(男性51人、女性14人)で調査し、舌苔の付着面積が大きい人は、付着面積が小さい人に比べ、口の中のアセトアルデヒド濃度が高くなることを明らかにしました。その理由として、舌苔に含まれる細菌がアセトアルデヒドの産生に関与していると考えられ、舌苔を取り除く舌清掃を行うと、口の中のアセトアルデヒド濃度が減少することも確認しました。
著者
山崎 裕治 中村 友美 西尾 正輝
出版者
日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.143-148, 2010 (Released:2014-03-06)
参考文献数
24
被引用文献数
1

In order to establish a feasible conservation program for the Itasenpara bittering (Acheilognathus longipinnis), the genetic population structure was determined on the basis of five microsatellite loci for wild and captive populations from Himi City, Toyama Prefecture, and the Yodo River system, Osaka Prefecture. An endemic genetic feature was found in each of the Toyama and Osaka regional populations, indicating that each should be treated as a separate unit in any future conservation program. The degree of genetic diversity in the Toyama populations tended to be lower than that in the Osaka population, being related to the population size and/or population demography. In the Toyama region, captive populations showed an equal degree of genetic diversity as the wild populations, probably due to a relatively short period of captive breeding as well as continuing introductions of wild individuals.
著者
馬場 幸大 西尾 正輝 山崎 裕治
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.61-66, 2016 (Released:2016-10-03)
参考文献数
34

要旨 国指定天然記念物であるイタセンパラについて小規模水槽飼育を実施し、飼育条件の違いが成長や生残に与える影響を調査した。実験条件として、1日あたりの給餌の頻度(1回、3回)、個体の密度(5匹、20匹)そして日当たり(日なた、日陰)の3つの項目に注目した。これらの条件を組み合わせた8通りの実験群を3組ずつ用意し、1か月ごとに生残率を算出し、標準体長および体重を計測した。さらに、本種の繁殖期とされる9月および10月における計測については、性成熟の判定を行った。飼育実験の結果、豊富な餌量の供給および低密度における飼育によって、良好な成長が期待できることが示唆された。一方で、残餌や高水温に起因する水質悪化が、摂餌活性および生残率の低下をもたらす可能性が示された。また、すべての実験群において性成熟する個体が出現した。これらのことから、保護池のような広大な土地が確保できない場所においても、効果的な条件を整えた小規模水槽において本種の飼育は可能であり、有効な保全方策の1つとなることが明らかとなった。
著者
大塚 尚実 其田 一 山崎 裕 北 飛鳥 宇留野 修一
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.7, pp.424-427, 2008-07-15
参考文献数
7

「氷上の格闘技」と呼ばれるアイスホッケーの試合中に,パックが頸部に衝突し,心肺停止で搬送された症例を経験したので報告する。症例は18歳の男性。アイスホッケーの試合中,相手のシュートで放たれた硬質ゴム製パック(重量約160g)が左耳後部に当たり,意識消失した。直後は自発呼吸があったがまもなく消失し,救急車内収容後に心静止となった。当院に搬入された際は心肺停止状態であり,瞳孔は散大し対光反射は消失していた。CPRを継続し,エピネフリン 1 mg投与後,自己心拍が再開した。左乳様突起尾側部に打撲痕が認められた。CT及びMRIを撮影したところ,くも膜下出血及び脳幹周囲血腫を認めた。自発呼吸,意識は回復しなかった。集中治療室に入室し,脳保護目的で低体温療法を行ったが,第 5 病日のCTでは低酸素脳症の所見であり,脳波・聴性脳幹反応ともに平坦であった。遠征中の事故であったため第 7 病日に地元病院に転院搬送となったが,搬送 7 日後に肺炎による呼吸不全を主とする多臓器不全により死亡した。アイスホッケーでは身体接触による外傷のほか,スケート,スティックやパックなどによる外傷も多数報告されている。そのため若年者ではより厳重に防具で身体保護を行っているが,シュートは成人で120-150 km/hにもなる。今回は防具の隙間に衝撃が加わり,脳幹周囲出血及びくも膜下出血を呈し,脳圧上昇によって脳幹が圧迫され,呼吸停止から心停止に至ったと推測される。同様の事故による複数の剖検例も報告されており,今後防具等の改善を検討する必要がある。
著者
西島 智子 小山 理惠子 内藤 郁奈 畑山 聡 山崎 裕司 奥 壽郎
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.95-99, 2004 (Released:2004-06-12)
参考文献数
12
被引用文献数
27 24

この研究の目的は高齢患者の膝伸展筋力と歩行能力の関係について検討することである。対象は高齢入院患者78名(75.7±7.7歳)である。これらの対象について膝伸展筋力と歩行能力を評価した。歩行能力は院内歩行群(n=50),室内歩行群(n=10),歩行非自立群(n=18)に分類した。院内歩行群における膝伸展筋力は室内歩行群,歩行非自立群に比較し,有意に高い値を示した。ロジスティック回帰分析の結果,院内独歩の可否を独立して規定する因子は膝伸展筋力のみであった。膝伸展筋力が0.5を下回る場合,院内歩行自立群は減少し始め,その下限値は0.28であった。0.30を下回る場合,室内歩行の自立割合は減少し始め,その下限値は0.13であった。以上のことから,高齢患者の独歩自立のためにはある程度の下肢筋力が必要なことが示唆された。
著者
山崎 裕治 後藤 晃
出版者
日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.1-28, 2000-05-25 (Released:2010-06-28)
参考文献数
181

Because lampreys have been considered to be representative of primitive vertebrates, frequent taxonomic, phylogenetic and speciation studies have been made, both before and since the landmark publication, “The Biology of Lampreys” (-1971-81). Primarily because of their low diversity of morphological features (treated as valid taxonomic characteristics), lampreys have been subject to much taxonomic uncertainty. Nevertheless, current phylogenetic hypotheses, based pri-marily on dentition, have been accepted by many researchers, with only slight modifications, over the last 2-3 decades. However, recent molecular studies of some lamprey groups have demonstrated the potential for a molecular approach to phylogenetic systematics of lampreys and a new basis for evaluation of previously-held hypotheses.Many lamprey genera are composed of several species characterized by different life-styles, such as parasitic, anadromous and nonparasitic, fluvial. The speciation process proposed in previous studies has been broadly divided into the following patterns: nonparasitic, fluvial species have evolved directly from a parasitic, anadromous species; and some nonparasitic, fluvial species have evolved from an intermediate at the parasitic, fluvial stage, rather than directly from a parasitic, anadromous form. In this review, these two processes and the mechanisms by which nonparasitic forms may have evolved, are discussed.As a case study, phylogeny and speciation within the Far East monophyletic genus Lethenteron is considered. Four Lethenteron taxa, L. japonicum, L. kessleri and the northern and southern forms of L. reissneri, should be regarded as discrete species because of the existence of reproductive isolation between all possible pairs of taxa in region of sympatry. In the monophyletic group, comprising the former three species, the nonparasitic fluvial L. kessleri and the northern form of L. reissneri are both thought to have evolved from ancestral stocks of parasitic, anadromous L. japonicum, following the occurrence of precocious dwarf individuals in each an-cestral line.
著者
山崎 裕子
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.56, no.11, pp.531-535, 2006-11-01

ブログは管理が容易なウェブサイトの一種で,現在国内ユーザ数が急速に増加しているが,国内の大学図書館でブログを運営している所はまだわずかである。本稿ではその一例として,2005年9月から2006年6月まで運営されたブログ「東大薬学図書館にっき」を紹介する。東京大学薬学図書館職員(筆者・当時)がブログを開始した意図,学内業務の一環として開始した経緯,ブログッールの選定方法,図書館内外の出来事を取り上げた記事の内容,ドメイン別・月別などに分類したアクセス状況,リンクやトラックバックなどのブログ機能の活用状況について概説し,大学図書館におけるブログの意義について考察する。
著者
西森 大地 山崎 裕司 中屋 久長 山本 双一 平賀 康嗣 片山 訓博 重島 晃史 高地 正音
出版者
高知リハビリテーション学院
雑誌
高知リハビリテーション学院紀要 (ISSN:13455648)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.59-61, 2011-03-31

下肢伸展運動を課題として,徒手による他動的誘導(以下,他動誘導)と徒手抵抗による誘導(以下,抵抗誘導)のいずれが運動再現性の点で優れているかを比較検討した.対象は,健常成人24名の右脚である.12名は靴ベラ式短下肢装具装着下(以下,装着群)で,残り12名は非装着下(以下,非装着群)で実験を行った.仰臥位,右膝関節最大屈曲位を開始肢位とし,他動誘導,抵抗誘導のいずれかのガイドによって開始肢位から再現させる屈曲角度(膝関節90°と60゜)まで誘導し,その運動を記憶するよう指示した.開始肢位に戻した後,自動運動によって運動を再現させ,誤差を求めた.膝関節60°の非装着群における誤差は,他動誘導,抵抗誘導の順に2.49cm,1.54cmであった。装着群では3.68cm,1.57cmであった.両群ともに抵抗誘導において誤差は小さかった(p<0.05 ).膝関節90°では非装着群において有意差を認めなかったが,装着群では抵抗誘導において誤差は小さかった(p<0.05 ).以上のことから,徒手抵抗を加えて運動を誘導する方法が正確に運動を指導することができるものと考えられた.
著者
豊田 輝 山崎 裕司 加藤 宗規 宮城 新吾 吉葉 崇
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.67-71, 2008 (Released:2008-04-05)
参考文献数
11
被引用文献数
9

本研究では模擬大腿義足歩行を課題として,シェイピングとチェイニング法,プロンプト・フェイディング法を活用した練習プログラムを考案した。そのプログラムを課した介入群の運動効果と自身による反復練習を課した対照群の運動効果について比較検討した。結果,対照群,介入群の両群ともに練習後有意な10 m歩行時間の短縮と,膝折れ回数,外転歩行回数,および体幹の側屈歩行回数の減少を認めた。しかし,その改善度合はいずれの項目も介入群において大きく,伸び上がり歩行回数については,介入群でのみ改善を認めた。したがって,今回のシェイピングとチェイニング法,プロンプト・フェイディング法を用いた歩行練習は,口頭説明と対象者自身による反復練習に比べ,より早期に模擬大腿義足歩行のスキルを向上させるものと考えられた。
著者
山崎 裕司 井口 由香利 栗山 裕司 稲岡 忠勝 宮崎 登美子 柏 智之 中野 良哉
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.209-212, 2010 (Released:2010-05-27)
参考文献数
8
被引用文献数
3 1

〔目的〕足関節背屈可動域がしゃがみ込み動作時の足圧中心位置および動作の可否に与える影響について検討した。〔対象と方法〕健常成人42名(20.1±2.4歳)に対して足関節背屈可動域の測定としゃがみ込み動作時の重心動揺測定を実施した。〔結果〕しゃがみ込み動作が可能な対象者は42名中27名であった。足関節背屈可動域としゃがみ込み時の前後足圧中心位置偏位量の間には,r=0.718の有意な相関を認め,背屈可動域が小さいほど足圧中心位置は後方に偏位した。しゃがみ込み動作可能群と不可能群の足関節背屈可動域は,それぞれ18.9±4.6度,9.6±3.5度であり,可能群で有意に大きかった。足関節背屈可動域が小さくなるに従って,しゃがみ込み動作可能者は有意に少なくなり,10°未満では全例(9例)が不可能であった。逆に,20°以上の症例(13例)では全例が動作可能であった。〔結語〕足関節背屈可動域の不足は,しゃがみ込み動作時の足圧中心位置を後方へ偏位させ,背屈可動域がある一定以下に制限された場合,動作が不可能となることが示された。
著者
山本 哲生 山崎 裕司 山下 亜乃 片岡 歩 中内 睦朗
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
巻号頁・発行日
pp.0122, 2017 (Released:2017-04-24)

【目的】変形性膝関節症は,病期の進行に伴い疼痛,変形,関節拘縮,筋萎縮等の症状が進行し,歩行能力や動作能力の低下が生じる。一方,歩行能力は下肢筋力や立位バランスによって規定されることが知られ,適切な運動療法や日常生活指導によって筋力や立位バランス能力が維持された場合,病期が進行した変形性膝関節症患者でも歩行能力が維持される可能性がある。本研究では,変形性膝関節症の病期と身体機能が歩行能力に及ぼす影響について検討した。【方法】対象は60歳以上で変形性膝関関節症を有し,独歩での通院が可能な症例196名(男性13名,女性182名,年齢75.5±6.3歳)である。疾患内訳は,両変形性膝関節症112名,片側性変形性膝関節症84名であった。病期分類は,横浜市大分類を用いGrade1:3名,Grade2:41名,Grade3:108名,Grade4:42名,Grade5:2名で,両変形性膝関節症患者は左右で重度な側を採用した。体重,年齢,歩行速度,Functional Reach Test(FRT),膝伸展筋力(アニマ社製 徒手筋力計測器μTasF-1)の5項目を調査・測定した。膝伸展筋力は左右の平均値を体重で除したものを採用した。分析はまず上記計測項目で歩行速度と関連の強い項目を重回帰分析で算定した。病期はG1.2,G3,G4.5に分類した。歩行速度が1.0m/secを下回った者を不良群,それ以外を良好群とし,病期別にその割合を比較した。また良好群,不良群での身体機能の差を比較した。最後に病期別に歩行速度が1.0m/secを下回る症例の膝伸展筋力とFRTのcut-off pointをROC曲線によってもとめた。【結果】重回帰分析の結果,歩行速度との間に有意な偏相関係数を認めたのは,膝伸展筋力(r=-0.40)とFRT(r=-0.32)であった。病期別にみた歩行速度不良群の割合は,G1.2 11%,G3 19%,G4.5 25%であり,重症度が高い群で多い傾向であったが,統計学的には有意ではなかった。各病期における膝伸展筋力は良好群と不良群の順に,G1.2では0.35kgf/kg,0.23kgf/kg,G3では0.36kgf/kg,0.24kgf/kg,G4.5では0.30kgf/kg,0.24kgf/kgであり,いずれも不良群で低値を示した(p<0.05)。同様に,FRTは,G1.2では28.8cm,20.8cm,G3では26.6cm,22.2cm,G4.5では24.8cm,21.4cmであり,いずれも不良群で低値を示した(p<0.05)。病期別のcut-off pointは,G1.2で膝伸展筋力0.26kgf/kg以上,FRT24.0cm以上,G3は膝伸展筋力0.25kgf/kg以上,FRT25.0cm以上,G4.5は膝伸展筋力0.25kgf/kg以上,FRT24.5cm以上と病期による差を認めなかった。【結論】変形性膝関節症の重症度と歩行速度には明確な関連は認めなかった。いずれの病期においても歩行速度不良群の膝伸展筋力,立位バランス能力は低く,理学療法による身体機能の維持が変形性膝関節症患者の歩行能力を維持するうえで重要なことが明らかとなった。
著者
山崎 裕毅 高木 哲 小儀 直子 須永 隆文 青木 由徳 細谷 謙次 奥村 正裕
出版者
日本獸医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 = Journal of the Japan Veterinary Medical Association (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.65, no.7, pp.530-533, 2012-07-20
参考文献数
8

尿道腫瘍による排尿困難を呈した犬4例に対し,排尿路を確保するための低侵襲かつ,姑息的な対処法としてバルーンカテーテルによる尿道拡張を実施した.すべての症例で,処置直後から自律的な排尿が可能となり,1回の拡張により最大2カ月間,排尿状態が維持された.また,本処置に関連した重篤な合併症は臨床上,認められなかった.本研究における4例では比較的良好な結果が得られたことから,本法は臨床的寛解が期待できない排尿困難を呈した犬の尿道腫瘍に対する姑息的かつ,緩和効果の高い尿道閉塞解除法になり得ると考えられた.しかし,本法における最適な尿道拡張圧や合併症の発症などに関してさらなる検討が必要である.
著者
近藤 美弥子 中澤 誠多朗 岡田 和隆 松下 貴惠 山崎 裕
出版者
北海道歯学会
雑誌
北海道歯学雑誌 (ISSN:09147063)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.17-21, 2018-09

近年高齢者の味覚障害患者は急増しているが,原因が特発性で亜鉛の補充療法で奏功しない場合は,対応に苦慮する症例を少なからず経験する.今回,種々の薬物療法では効果が得られなかった味覚障害に対し,患者自ら自発的に行動療法を実践した結果,味覚の改善が得られた症例を経験したのでその概要を報告する. 症例は 75 歳女性.当科受診4か月前に,突然味覚異常を自覚し,その後舌痛も感じるようになった.そのため耳鼻咽喉科に3か月間通院したが,改善なく当科紹介受診した.当初,カンジダ性の味覚障害が疑われ抗真菌薬が投与されたが,舌痛の軽快のみで味覚の改善は認めなかった.次に,ロフラゼプ酸エチル,亜鉛の補充療法,2種類の漢方薬が長期投与されたが味覚に変化は認めなかった.その頃,テレビで視覚障害患者のドキュメンタリー番組を見て大いに感動し,味覚異常に執着しないで前向きに生活していくことを患者自らが実践するようになった. この行動療法により初診から2年目頃には,食事が美味しいと思えるほどに味覚の回復が得られ,その状態を維持している.
著者
小森 浩二 塙 由美子 山本 淑子 古前 竜平 山崎 裕己 中野 祥子 三田村 しのぶ 宮﨑 珠美 菊田 真穂 高田 雅弘 首藤 誠
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.133, no.8, pp.905-911, 2013
被引用文献数
1

&nbsp;&nbsp;Loxoprofen (Loxonin<sup>&reg;</sup>), an antipyretic painkiller, was approved as an over-the-counter (OTC) drug (Loxonin<sup>&reg;</sup>-S) in January 2011. With regard to self-medication using OTC drugs, the information that pharmacists provide to consumers is very important. Although loxoprofen is a very versatile drug and can be used during breastfeeding, information regarding its mammary gland transfer is inadequate. In this study, we established a simple method to evaluate mammary transfer of drugs, and compared loxoprofen's mammary gland transfer with that of aspirin. Loxoprofen 12 mg/kg and aspirin 132 mg/kg was orally administered to mother mice (ddY), and blood and milk samples were collected. Twenty microliters of ethanol was added to the blood and milk samples (10 &mu;L), and the mixture was centrifuged for 15 min (12000 <i>g</i>); the supernatant was analyzed by high-performance liquid chromatography. Since aspirin was immediately metabolized, we analyzed salicylic acid concentrations. Maximum concentration of loxoprofen was observed at around 15 min after its oral administration, with the concentrations in the blood and milk being 2.9 and 0.5 &mu;g/mL, respectively. The drug was metabolized promptly thereafter. In contrast, maximum concentration of salicylic acid was observed at 30 min after aspirin administration, with the concentrations in the blood and milk being 187.2 and 64.4 &mu;g/mL, respectively. These concentrations remained constant from 60 to 120 min. Salicylic acid could be detected 240 min after aspirin administration. Thus, mammary gland transfer of loxoprofen is lower than that of aspirin, suggesting that loxoprofen does not accumulate in milk.<br>
著者
片山 訓博 大倉 三洋 山崎 裕司 重島 晃史 酒井 寿美 栗山 裕司 稲岡 忠勝 宮崎 登美子 柏 智之 藤本 哲也 藤原 孝之
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.365-369, 2011 (Released:2011-07-21)
参考文献数
11
被引用文献数
2

〔目的〕常圧下における低酸素および高酸素条件への急性暴露が,運動時の呼吸循環応答へ与える影響を検討した.〔対象〕健常成人男性7名.〔方法〕膜分離方式により常圧環境下において低,通常,高の3つの酸素濃度条件を設定した.各条件下で自転車エルゴメータによる多段階漸増運動負荷を行い,安静時から運動最終時までの呼吸循環応答を測定した.低酸素濃度と通常酸素濃度,通常酸素濃度と高酸素濃度の呼吸循環反応を比較検討した.〔結果〕低酸素濃度では,通常酸素濃度に比べ呼吸循環器系への負荷が有意に増大した.特に,嫌気性代謝閾値以上の負荷において呼吸器系への負荷が大きくなる傾向にあった.高酸素濃度では,通常酸素濃度と大きな差を認めなかった.〔結語〕急性暴露における常圧低酸素環境においても,順化させた低圧低酸素環境での呼吸循環負荷と同様の効果が示された.
著者
山崎 裕司 遠藤 晃洋
雑誌
高知リハビリテーション学院紀要 = Journal of Kochi Rehabilitation Institute (ISSN:13455648)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.1-10, 2017-03-31

認知症患者の日常生活動作障害に対する行動分析学的介入について紹介した.応用行動分析学では動作障害の原因を,認知機能や身体機能の問題だけでなく,知識の問題,技術の問題,動機づけの問題から分析していく.知識の問題に対して間違った手順を修正する口頭指示は無効であった.知識の教示とフェイディングによる介入の有効性が示された.技術の問題に対する介入では,逆方向連鎖化や段階的な難易度設定,プロンプト・フェイディングなどの技法を用いた介入の有効性が報告されていた.動機づけの問題に対しては,強化刺激の整備によって適切な行動を増加させ得ることが示された.さらに,言語指示に従えない重症例に対する介入が本報告されていた.問題行動に対する介入では,不適切な行動を消去し,それに拮抗する適切な行動に強化刺激を与える介入が実施されていた. 多数の先行研究は,認知症を有する対象者に適切な行動を学習させ得ることを示した.応用行動分析学的介入は,認知症患者の日常生活動作能力を改善させるであろう.