著者
栗栖 智
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.451-457, 2010 (Released:2012-01-31)
参考文献数
28
被引用文献数
1 3
著者
木下 弘喜 土肥 由裕 佐田 良治 木阪 智彦 北川 知郎 日高 貴之 栗栖 智 山本 秀也 木原 康樹
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.46, no.11, pp.1532-1537, 2014 (Released:2015-11-15)
参考文献数
17

【背景】心肺運動負荷試験 (cardiopulmonary exercise testing ; CPET) 中に観察される, 運動時周期性呼吸変動 (Exercise Oscillatory Ventilation ; EOV) は, 収縮障害を有する心不全にみられる運動耐容能低下や突然死と関連する現象として知られる. 近年, 拡張不全の予測因子としての有用性も報告された. 非虚血性心不全に関して, NYHAⅡ以下の比較的軽症例を中心とした報告で臨床的意義が相次いで明らかにされたが, NYHAⅢ以上の重症例を対象とした検討は稀である.  【目的】非虚血性心不全重症例における, EOV出現と心事故発症との相関を明らかにすること.  【方法】2009年4月から2011年12月の間にCPETを施行した非虚血性重症心不全患者 (NYHA分類class Ⅲ/Ⅳ) 76症例を, 主要エンドポイントを心血管イベントとして後ろ向きに検討した. 観察期間内に複数回CPETを施行した患者について, 換気パターンの変化を比較するサブ解析を行った.  【結果】EOVを認めた25症例 (EOV群) と, 認めなかった51症例 (非EOV群) の2群間で比較したところ, 死亡率はEOV群で20%と, 非EOV群9.8%と比較して有意に高く (p<0.05), 心不全入院を含む有害事象もEOV群32%, 非EOV群25%と, EOV群で高頻度であった (p<0.05). EOVが観察期間内に消失した3人のうち2人は死亡していた.  【結論】EOVは非虚血性心不全患者において, 生命予後・心血管イベントの予測因子となりうる可能性があることが示唆された.
著者
香川 英介 井上 一郎 河越 卓司 石原 正治 嶋谷 祐二 栗栖 智 中間 泰晴 丸橋 達也 臺 和興 松下 純一 池永 寛樹
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.41, no.SUPPL.3, pp.S3_155-S3_158, 2009 (Released:2015-01-23)
参考文献数
6

背景 : 心肺停止患者に対し低体温療法を行うことで社会復帰率が上昇することが報告されている.  目的 : 良好な社会復帰 (FR) 可能な心停止時間について検討した.  方法 : 2003年から2008年に低体温療法を行った80人 (HT-group) と, 2007年4月から2008年5月までの院外心肺停止患者で, 自己心拍は再開したが低体温療法は行われなかった174人 (NT-group) を対象とした. 心停止時間は心肺停止から自己心拍の再開もしくは体外循環の開始までの時間と定義した.  結果 : FRはHT-groupで30人, NT-groupで20人であった. FRにおいてはHT-goupの方がより若年であった. FRに関して心停止から心拍再開もしくは体外循環の開始までの時間は独立した予後因子であった (OR 1.07, 95%CI 1.02-1.13, p<0.01). FRにおける心停止時間は低体温療法を行ったもので有意に短かった (26±15 vs 12± 5分, p<0.01).  結語 : 低体温療法により良好な社会復帰に許容される心停止時間は延長する.