著者
小野広一 山本秀也 木原康樹
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.33-38, 2019-03-20 (Released:2019-04-10)
参考文献数
11

【背景】我が国では年間約5万人が新たに植込み型心臓デバイス(CID)植込み治療を受けているが,死後,火葬時の取り扱いについては一定の見解がない.CIDを取り出さずに火葬可能であれば,安心してCID植込み患者を自宅で看取ることができる.【目的および方法】火葬時のCIDの取り扱いについて,中国地方の現状を調べるため,中国地方5県(鳥取・島根・岡山・広島・山口)の162火葬場の管理者(76事業所)に,火葬時の取り扱いについて電子メール・ファックス・電話で調査した.【結果】摘出なしでは火葬不可が8事業所9ヵ所(5.6%),病院で亡くなる場合などでは可能な限り摘出を希望するが,事前の申請があれば摘出なしでも火葬可が42事業所93ヵ所(57.4%),事前の申請があれば摘出なしでも火葬可が27事業所60ヵ所(37.0%)であった.【結論】火葬時の事前申請は必要であるが,中国地方では94.4%の火葬場でCIDを摘出しなくとも火葬が可能であった.(心電図,2019;39:33~38)
著者
石田万里 石田隆史 坂井千恵美 アンディ アリヤンディ 木原康樹 吉栖正生
雑誌
第55回日本脈管学会総会
巻号頁・発行日
2014-10-17

【目的】オメガ‐3系脂肪酸は,全死因死亡と各種心血管疾患のアウトカム(突然死,心臓死,心筋梗塞など)を低減させると報告されている。私たちはこれまで動脈硬化発症のメカニズムにDNA損傷によるゲノムの不安定性が関与していることを報告してきた。そこで本研究では,オメガ‐3系脂肪酸が動脈硬化進展を抑制するメカニズムのひとつとして,ヒト血管内皮細胞のDNA損傷をオメガ‐3系脂肪酸が軽減するか否かを検討した。【方法と結果】酸化ストレス(H2O2)によるヒト大動脈内皮細胞のDNA損傷,特に二本鎖切断を,リン酸化ヒストンH2AX抗体を用いた蛍光免疫染色により定量的に評価した。エイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)はH2O2による二本鎖切断を有意に減少させた(p<0.05)。DNA損傷応答の主要タンパクであるATMの活性化はEPAおよびDHAによって増強せず,二本鎖切断の減少はDNA修復の増強によるものではないと考えられた。ウェスタンブロットを用いた検討から,EPAおよびDHAは細胞内のカタラーゼの発現を増強することが明らかとなった。そこでCM-H2DCFDAを用いて細胞内活性酸素種(ROS)量を定量したところ,EPAおよびDHAは内因性およびH2O2投与後の細胞内ROS量を有意に抑制した(p<0.05)。【結論】オメガ‐3脂肪酸であるEPAおよびDHAは血管内皮細胞においてH2O2によるDNA損傷を軽減する。この作用はカタラーゼの発現増強およびそれによる細胞内酸化ストレスの減弱によることが示唆された。
著者
木下 弘喜 土肥 由裕 佐田 良治 木阪 智彦 北川 知郎 日高 貴之 栗栖 智 山本 秀也 木原 康樹
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.46, no.11, pp.1532-1537, 2014 (Released:2015-11-15)
参考文献数
17

【背景】心肺運動負荷試験 (cardiopulmonary exercise testing ; CPET) 中に観察される, 運動時周期性呼吸変動 (Exercise Oscillatory Ventilation ; EOV) は, 収縮障害を有する心不全にみられる運動耐容能低下や突然死と関連する現象として知られる. 近年, 拡張不全の予測因子としての有用性も報告された. 非虚血性心不全に関して, NYHAⅡ以下の比較的軽症例を中心とした報告で臨床的意義が相次いで明らかにされたが, NYHAⅢ以上の重症例を対象とした検討は稀である.  【目的】非虚血性心不全重症例における, EOV出現と心事故発症との相関を明らかにすること.  【方法】2009年4月から2011年12月の間にCPETを施行した非虚血性重症心不全患者 (NYHA分類class Ⅲ/Ⅳ) 76症例を, 主要エンドポイントを心血管イベントとして後ろ向きに検討した. 観察期間内に複数回CPETを施行した患者について, 換気パターンの変化を比較するサブ解析を行った.  【結果】EOVを認めた25症例 (EOV群) と, 認めなかった51症例 (非EOV群) の2群間で比較したところ, 死亡率はEOV群で20%と, 非EOV群9.8%と比較して有意に高く (p<0.05), 心不全入院を含む有害事象もEOV群32%, 非EOV群25%と, EOV群で高頻度であった (p<0.05). EOVが観察期間内に消失した3人のうち2人は死亡していた.  【結論】EOVは非虚血性心不全患者において, 生命予後・心血管イベントの予測因子となりうる可能性があることが示唆された.
著者
森山 美知子 岡 美智代 大津 美香 宮薗 夏美 宇佐美 しおり 佐野 眞理子 岡田 俊 木原 康樹 岡田 彩子
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

医療人類学的研究手法を用いて、糖尿病、慢性腎不全、心筋梗塞、慢性心不全、COPDの患者学習支援型教育プログラムと補助教材を作成し、臨床試験を実施した。まず、フィールド調査を行い、患者のセルフマネジメント行動の習得に向けたプログラムの構造と内容を決定し、動機づけ、行動の維持、生理学的データの改善とQOLの向上に向け、プログラムの展開方法を決定した。臨床試験では、介入群においてセルフマネジメント行動が強化され、各種指標が改善した。