著者
栗田 美由紀
出版者
奈良大学
雑誌
奈良大学紀要 (ISSN:03892204)
巻号頁・発行日
no.27, pp.53-91, 1999-03

暈繝彩色とは、淡い色から濃い色へ色を段階的に変化させて作った色の帯を対比的に組み合わせて、立体感や明るい多色感などの色彩効果をあげる彩色装飾の一技法である。わが国へは中国より伝えられ、奈良・平安時代を中心に、建築、仏像、仏具などの文様の彩色にさかんに用いられた。今回、飛鳥・白鳳時代から鎌倉時代にかけての暈繝彩色に用いられた色彩について調査した結果、時代によって使用される量細の種類、組合せ、輪郭線の色に違いがあることが明らかとなった。本稿では各時代に見られる暈繝彩色の色彩的特徴を明らかにし、そこから生まれる色彩効果に着目しながら、わが国における暈繝彩色の受容から発展、衰退の過程について考察を試みる
著者
西山 要一 酒井 龍一 栗田 美由紀 魚島 純一 泉 拓良
出版者
奈良大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

平成25・26年度も中東情勢は安定せず現地調査を中止した。それに換え25年度はレバノンとイタリアおよび国内の研究者で研究会を開催し研究の経過・成果・課題について報告と討論を行い、26年度は報告書の原稿を執筆した。ブルジュ・アル・シャマリT.01-Ⅰ地下墓は碑文から紀元196/197年にリューシスのために築造され、孔雀・魚・パン・ワイン壺などの壁画から死者の平安を祈る葬送観念、炭素14年代測定、出土遺物の材質分析などの人文科学と自然科学の学際研究によりレバノン古代史を明らかにした。また温度・湿度・微生物など地下墓環境・壁画の修復は文化財保存の論理と技術の移転も行い大きな国際貢献ができた。