著者
寺本 由利子 小林 亮介 寺本 義隆 根尾 櫻子 代田 欣二
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.167-170, 2011 (Released:2011-10-19)
参考文献数
9

11ヵ月齢,避妊雌のチンチラが3度にわたる右肩部皮膚の潰瘍性病変を主訴に受診した。全身麻酔下にて病変部周囲を悌毛したところ皮膚は非常に脆弱で容易に傷つき皮膚伸展率が23.3%と高値を示した。裸出した皮下組織と体幹皮筋を切除・縫合し傷は癒合した。皮膚の病理組織検査では真皮における膠原線維の細片化や染色性の異常等が観察され,超微形態学的にも原線維の著しい配列の異常が観察された。関節を含め皮膚以外の異常は認められず臨床および病理所見より皮膚無力症と診断した。現在術後9ヵ月経過しているが皮膚病変を認めていない。
著者
根尾 櫻子 久末 正晴 土屋 亮
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.70, no.12, pp.795-799, 2017-12-20 (Released:2018-01-20)
参考文献数
7

インピーダンス法を用いた臨床現場即時検査(POCT)対応の自動血球計数装置は特に猫の血小板数(PLT)を正確に測定することが困難である.動物用自動血球計数装置Microsemi LC-662(LC)は測定原理にインピーダンス法を用いたPOCT対応機器である.本研究では基準機にはSysmex XT-2000iV(XT)を用いて,さらにLCと同じ測定原理を用いたPOCT対応機器であるCelltac α(Cα)を比較対象として,LCの精度評価を行った.また,採血直後の測定ができない場合も考慮して血液保存による測定値への影響に関しても検討した.検討用血液は,相関性の確認には健常犬9頭及び猫5頭と,無作為に選出した疾患犬90頭及び猫62頭,血液保存による測定値への影響の検討には健常犬9頭及び猫5頭から得たものを用いた.血小板数(PLT)の相関は,犬ではLC/XTとCα/XTで同程度に高かった.一方,猫においてはCα/XTは中等度の相関に止まったのに対し,LC/XTでは高度の相関が認められた.保存による影響については,温度と時間経過の両面から検討した.その結果,4℃で長時間保存すると,犬,猫共にPLTが顕著に減少し,白血球数は増加した.