著者
郷田 雄志 根岸 英一
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会誌 (ISSN:00214663)
巻号頁・発行日
vol.63, no.12, pp.375-383, 2015-12-05 (Released:2017-06-08)

森林火災が頻発する欧米等ではヘリコプターや固定翼の消防機による空中消火が重要な消火手段であり,消防機を安全かつ効果的に活用するための運用方法が設定され,教育訓練が実施されている.なかでも飛行艇は,湖水や海面を滑走しながら短時間に取水することができる効率的な消火手段として活用されている.また,空中消火は,空港,ショッピングモール,船舶等の大型施設の火災においても実施されており,地震による大火災時においても有効な消火手段と考えられる.防衛省で運用されているUS-2救難飛行艇を活用した消防飛行艇は,震災による大規模火災が想定される我が国において有効な災害支援ツールと考えられることから,新明和工業(株)では,本消防飛行艇の試験研究を実施している.本稿では,世界の航空消防の状況及び本消防飛行艇の構想及び試験研究の状況について概要を述べる.