- 著者
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根本 潤
遠山 元道
- 雑誌
- 情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
- 巻号頁・発行日
- vol.13, no.1, pp.33-44, 2020-01-27
本研究では第1にゲートレス鉄道サービスを提案する.タッチレスゲートが入退場確認のために必ず改札の通過を求めるのに対して,ゲートレス鉄道サービスは改札自体を不要にすることで,柔軟かつ効率的な運賃徴収への道を拓く.導入や保守に要するコストの観点から,本研究では,ゲートレス鉄道サービスの実現のため,GPS位置情報に基づく乗車区間判定を行う.利用者数ならびに列車本数が莫大であるため,乗車区間判定の処理コストも莫大となる.そこで,本研究では第2に,この判定処理コストを削減する方式を提案する.提案方式はデータの内挿とユークリッド距離に基づく,利用者と列車のGPS位置情報シーケンスのマッチングである.国土交通省が提供する実際の鉄道軌道データを用いた実験により,GPS位置情報を正確に取得可能な条件下においては,欠損をともなうようなデータに対しても提案方式が頑健な精度を実現できることを示す.さらに,判定処理の計算コストがシーケンス長に対して線形であること,従来方式に比べて15倍以上の高速化を達成することを示す.