著者
宮本 毅 中川 光弘 長瀬 敏郎 菅野 均志 大場 司 北村 繁 谷口 宏充
出版者
東北大学東北アジア研究センター
雑誌
東北アジア研究 = Northeast Asian studies (ISSN:13439332)
巻号頁・発行日
no.7, pp.93-110, 2003-03-31

Baitoushan volcano (Changbaishan volcano in China), situated on the border between China and North Korea, is one of the most active volcanoes in mainland Asia. The volcanism is divided into three stages, firstly the shield volcano-forming stage effusing large amount of basaltic lava flow, secondly volcanic cone-building stage consisting of trachytic magma, and finally summit caldera (called Tianchi caldera)-forming stage erupting the vigorous alkali-rhyolitic pyroclastics. Tianchi caldera has been formed by some huge eruptions (10th century, 4000yBP eruption and more) since Pleistocene. In caldera-forming stage, the time sequence of such huge eruption progress from Plinian pyroclastic fall to following large pyroclastic flow (ignimbrite). Based on our geological and petrological studies and Radiocarbon dating about wood and charcoal samples in pyroclastics, we found that 9th century eruption, unknown until now, has occurred before 10th century eruption. From the relation of stratigraphy and radiocarbon age the dormancy between this episode and 10th century one is estimated about a hundred year. The time sequence and eruptive style of this new episode is similar to 10th century eruption, but the magma composition is different.
著者
広井 良美 宮本 毅
雑誌
日本地球惑星科学連合2016年大会
巻号頁・発行日
2016-03-10

発泡破砕した珪長質マグマが外来水と接触するようなマグマ水蒸気噴火の噴火様式として,水蒸気プリニー式噴火がある.水蒸気プリニー式噴火はこれまで有史における観測例がなく,その噴火様式は噴出物の特徴のみから判断されており,その代表的な特徴として細粒本質物質に富むことが挙げられる.この細粒粒子の起源には,マグマと外来水の接触による水冷破砕(Houghton et al.,2000)や,マグマ水蒸気爆発による爆発破砕(Self and Sparks,1978)等が考えられてきた.しかし,マグマ-水接触実験(広井・宮本,2012)及び噴出物の全粒度分析(広井・宮本,2015)から噴出物の水冷破砕及びマグマ水蒸気爆発の発生と細粒化は生じておらず,水蒸気プリニー式噴火噴出物の特徴は液相水の凝集効果によってもたらされている(Self and Sparks,1978)ことが明らかになった. 一般に,噴火形態はマグマ-水比によって決定されると考えられており,マグマに関与する外来水が少量である場合にはマグマ噴火が発生するとされている(Wohletz and Heiken,1984).Koyaguchi and Woods(1996)ではプリニー式噴火で形成される噴煙柱に対する外来水の影響をシミュレーションし,約30wt%の外来水が取り込まれても噴煙柱は湿潤な状態で維持されることを示している.水蒸気プリニー式噴火においても噴煙柱が形成されると考えられている事から,プリニー式噴火と水蒸気プリニー式噴火の境界はこの噴煙柱への外来水の取り込み量上にあると考える事ができる.これを踏まえ,本研究では両噴火様式に対する外来水の影響を考察する. 十和田火山の最新の活動である平安噴火は,二重カルデラ湖の内カルデラ湖を給源とし潤沢な外来水の存在下で一連の活動を生じている.最初の噴出物ユニットOYU-1は外来水との接触を伴うなかで噴出しているが,層相,淘汰度や破砕・分散度等の噴出物の特徴からプリニー式噴火に分類される(広井ほか,2015).このOYU-1にはカリフラワー状軽石(Heiken,2006)が含まれているが,世界中で数多くプリニー式噴火の報告例がある中,カリフラワー状軽石の報告例は少ない(例えば,Arana-Salinas et al.,2010).また十和田火山においても給源を同じくする過去のプリニー式噴火噴出物中には含まれていない等,カリフラワー状軽石の形成には普遍的かつ一般的に存在する帯水層よりも多量の外来水を要することが示唆される.しかし,この多量の外来水の存在下でOYU-1がプリニー式噴火を生じていることは,外来水との接触が生じていても,噴煙柱内に取り込まれる外来水の量が多くならなければ水蒸気プリニー式噴火は生じないことを示している. 平安噴火はその後OYU-1に続き水蒸気プリニー式噴火ユニットOYU-2へと推移する.OYU-2はベースサージを主体とするが,多量の細粒本質物質を含み,vesiculated tuffを形成している等,水蒸気プリニー式噴火噴出物の特徴に一致する(広井ほか,2015).OYU-2はOYU-1よりも噴出率が増大している可能性があり,マグマ-水比は不利となるにも関わらずマグマ水蒸気噴火への推移が生じている.このとき,OYU-1からOYU-2にかけては外来水と接触する以前の本質物質の気泡成長度が連続的に上昇しており,気泡成長度の上昇によってマグマから外来水への熱伝達効率が上昇していると考えられる(広井・宮本,2011).熱伝達効率が上昇するとより多くの外来水が急熱され蒸気となり,噴煙柱内に取り込まれるため,外来水を多く含んだ噴煙柱を形成する水蒸気プリニー式噴火の発生にきわめて有効に作用すると考えられる.一方で,多くの水蒸気プリニー式噴火噴出物中に高気泡成長度を示す板状火山ガラスが顕著である(Heiken and Wohlets,1985).これもまた,水蒸気プリニー式噴火の発生に気泡成長度が大きく寄与していることを示唆する. 発泡破砕した珪長質マグマが外来水と接触しても,一般的にはプリニー式噴火を生じ,外来水の量が多い場合には噴出物中にカリフラワー状軽石が含まれる.この十分量の外来水の存在に加え,噴出物の気泡成長度が高い場合にのみ,十分な熱伝達効率を得て多量の外来水を気化し,水蒸気プリニー式噴火が発生し得ると考えられる.以上より,本研究では従来の一般的な認識と異なり,外来水の関与のあるプリニー式噴火がごく一般的に起こり得る噴火様式であること,水蒸気プリニー式噴火はマグマ水蒸気爆発及び水冷破砕による細粒化を伴わずプリニー式噴火と同様の初期条件を持ち,十分量の外来水と十分な気泡成長度とが確保された場合にのみ多量の外来水を気化する能力を得て発生するものであることを主張する.
著者
桜井 秀也 青木 雅昭 宮本 毅信
出版者
公益社団法人 日本磁気学会
雑誌
日本応用磁気学会誌 (ISSN:02850192)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.465-468, 1990-04-30 (Released:2007-12-03)
参考文献数
3
被引用文献数
1 1

In the last few years, MRI (Magnetic Resonance Imaging) has become one of the most excellent and important radiological and diagnostic methods. For this application, a strong and uniform magnetic field is required in the area where the patient is examined. This requirement for a high order of homogeneity is increasing with the rapid progress of tomographic technology. On the other hand, the cost reduction for the magnet is also strongly required. As reported in the last paper, we developed and mass-produced a permanent type magnet using high energy Nd-Fe-B material. This paper presents a newly developed 15 plane measuring method instead of a 7 plane method to evaluate the homogeneous field precisely. By using this analytical method and linear programing method, a new-shaped pole piece has been developed. In consequence, homogeneity was improved twice as much and the magnet weight was reduced 10% as compared with the formerly developed pole piece.
著者
宮本 毅 蟹澤 聰史 石渡 明 根本 潤
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.119, no.Supplement, pp.S27-S46, 2013-08-15 (Released:2014-03-21)
参考文献数
45
被引用文献数
1 4

仙台市街を構成する大地は,新第三紀中新世以降,たび重なる変動を経験しながら海と陸の時代を繰り返し,現在の姿となった.現在の仙台市街から最も近い火山は約20 km離れた奥羽山脈上にあるため,火山とは無縁の地と感じるかもしれないが,数多くの火山活動が発生し,大地の形成と変貌に一役買っていたと考えられる.本巡検は地学教育とアウトリーチ用の巡検として,一般の方々を対象とし,仙台の大地の成り立ちとそこに介在した火山活動について理解していただくことを目的とする.見学は,仙台市を流れる広瀬川の周辺地域に分布する後期中新世以降の地層について行う.その中でも,特に現在の仙台市を中心とした地域を襲った火山噴火による噴出物に焦点をあてる.仙台市街で観察される火山噴出物は,それぞれ噴火のタイプが異なることから,火山噴火現象の多様性についても同時に解説を行う.
著者
宮本 毅
巻号頁・発行日
no.55,
著者
谷口 宏充 栗谷 豪 宮本 毅 長瀬 敏郎 菅野 均志 後藤 章夫 中川 光弘 伴 雅雄 成澤 勝 中川 光弘 奥野 充 伴 雅雄 前野 深 嶋野 岳人 板谷 徹丸 安田 喜憲 植木 貞人 古畑 徹 小嶋 芳孝
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

頭山およびそれを包括する蓋馬溶岩台地に関して、現地調査、衛星データー解析、採集した資料の化学分析・年代分析、国内の関連地層の調査・年代分析などの手法を用いて、白頭山10世紀巨大噴火の概要、白頭山及び蓋馬溶岩台地の火山学的な実態を明らかにしようとした。開始してから1年後に北朝鮮のミサイル問題・核開発問題などの諸問題が発生し、現地での調査や研究者との交流などの実施が徐々に困難になっていった。そのため、すでに収集していた試料の分析、衛星データーの解析及び国内での調査に研究の主力を移し、可能な限りの成果を得ようとした。その結果、近年発生している白頭山における地震多発とマグマ活動との関係、存在は知られているが分布や内容が全く未知である蓋馬溶岩台地の概要が明らかになり、更に、地下におけるマグマの成因についても一定の結論を得た。混乱状態にある白頭山10世紀噴火の年代問題をふくめ、また、北朝鮮からの論文を含め、研究成果は12編の論文として論文集にまとめられつつある。
著者
宮本 毅治 武田 宜子
出版者
日本クリティカルケア看護学会
雑誌
日本クリティカルケア看護学会誌 (ISSN:18808913)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.81-86, 2016-03-22 (Released:2016-03-22)
参考文献数
13
被引用文献数
1

目的:人工呼吸器装着患者の鎮静管理において,海外では看護師による鎮静管理の効果が示唆されているが,わが国での調査は十分ではない.そこで,本研究では包括的指示に基づく看護師による鎮静管理について,目標鎮静度の達成度から,医師による鎮静管理との差異を調査した.方法:人工呼吸器装着患者10 名(医師調整群5名・看護師調整群5名)に対して2時間おき3日間の鎮静度の推移を記録し,2群の差や特徴について記述的に分析した.結果:目標鎮静度から乖離した頻度(割合)は,医師調整群25.4 ± 3.9 回(68.6%),看護師調整群18.0 ± 4.7 回(48.6%)であった.目標鎮静度からの乖離の程度を表す乖離の幅は,医師調整群1.1 ±0.4,看護師調整群0.6 ± 0.2 であり,看護師調整群の方が目標鎮静度から乖離した頻度が少なく,乖離の幅も狭い傾向にあった.結論:医師による鎮静剤投与量調整と比較した場合,包括的指示に基づく看護師による投与量調整の方が目標鎮静度に沿った鎮静管理を行えることが示唆された.