著者
桃山 和夫
出版者
The Japanese Society of Fish Pathology
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.263-268, 1983
被引用文献数
2 7

病エビ中腸腺の押しつぶし染色標本または,生鮮標本を以下いずれかの方法で観察することにより,本症の診断が可能と考えられる。1. 押しつぶし染色標本により肥大した無構造核を観察する。2. 生鮮標本の暗視野観察により白色無構造の肥大した核を観察する。3. 生鮮標本の位相差観察により肥大した異常核内に多数の桿状の物体を観察する。
著者
桃山 和夫 室賀 清邦
出版者
The Japanese Society of Fish Pathology
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.1-14, 2005-03-15 (Released:2009-10-26)
参考文献数
99
被引用文献数
8 15

日本の養殖クルマエビで報告されている感染症と非感染症について概説した。特に大きな被害をもたらした病気としてはBMN, ビブリオ病およびPAVがある。BMNは種苗生産場で発生したが, 洗卵法の導入により1993年以降発生がみられていない。ビブリオ病は2期作が普及していた1980年~1990年代に流行し, 毎年生産量の20~30%の被害をもたらした。PAVは1993年に中国から種苗とともに持ち込まれ, 以後,養殖エビのみならず, 放流用種苗にも甚大な被害を与えている。最後に, 防除対策として, 防疫や耐病性育種について論じた。
著者
中野 平二 河邉 博 梅沢 敏 桃山 和夫 平岡 三登里 井上 潔 大迫 典久
出版者
日本魚病学会
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.135-139, 1994-06-15 (Released:2009-10-26)
参考文献数
4
被引用文献数
46 121

1. 1993年に西日本で発生した養殖クルマエビの大量死に関連してクルマエビ養殖を行っている17県を対象に, その発生状況を調べるとともに, 病エビを用いて感染実験を行った。2. 大量死の発生は中国産種苗の導入と密接に関連していた。3. 死亡率は発生例の約8割が80%以上であり, 死亡エビのサイズは0.01g~22.5gと範囲は広かった。4. 大量死の原因と考えられるような細菌, 真菌, 寄生虫は検出できなかった。5. 自然発症及び実験感染クルマエビの磨砕濾液の筋肉内注射によりクルマエビは容易に死亡し, 死亡エビは自然発症個体と同様の症状を呈した。6. 以上の結果より, 今回の大量死の原因としては濾過性病原体が強く疑われ, それは中国産クルマエビとともに日本に持ち込まれたものと推定された。
著者
桃山 和夫 平岡 三登里 中野 平二 河邉 博 井上 潔 大迫 典久
出版者
日本魚病学会
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.141-148, 1994-06-15 (Released:2009-10-26)
参考文献数
13
被引用文献数
21 54

1. 1993年に西日本で発生した養殖クルマエビの大量死に関連して, 自然発症個体, 実験感染個体および輸入直後の採材個体について病理組織観察を行った。2. 自然発症および実験感染個体の間で症状に差は認められず, 両者は同一の疾病であると判断された。3. 病エビの肉眼的主な異常な体色の赤変ないし褪色と外骨格における大きさ数mm以下の白点の形成であった。4. 白点は基本的には外骨格標本の薄い透明層とその直下の外骨格内のやや厚い不透明層とから構成されていた。5. 本疾病の病理組織像は皮下組織をはじめ, 中・外胚葉起源の様々な組織における種々の細胞の核の肥大と無構造化を伴う細胞の変性によって特徴づけられた。6. 本疾病はクルマエビ属エビ類の新しい疾病であると考えられ, その原因としては濾過性病原体が疑われた。7. 中国から輸入翌日に採材されたクルマエビに本疾病の特徴的病理組織像が明瞭に観察され注目された。