著者
志村 茂 井上 潔 工藤 真弘 江草 周三
出版者
日本魚病学会
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.37-40, 1983-06-30 (Released:2009-10-26)
参考文献数
7
被引用文献数
4 9

1) ヤマメを供試魚として,せっそう病の発症およびそれによる斃死に関するチョウモドキの寄生の影響を,感染実験(菌浴法)を行なって調べた。2) チョウモドキ寄生区での斃死率は非寄生区のそれよりも明らかに高かった。3) せっそう病患部と寄生部位との相関関係は特に認められなかった。4) 斃死魚1尾あたりのせっそう病患部の面積は,寄生区の斃死魚の方が著しく大きかった。
著者
井上 潔 島 好範
出版者
公益社団法人 日本金属学会
雑誌
日本金属学会誌 (ISSN:00214876)
巻号頁・発行日
vol.33, no.7, pp.755-760, 1969 (Released:2008-04-04)
参考文献数
6
被引用文献数
2

The purpose of this paper is to clarify the character of spark carburization for iron, and characteristics of the spark carburized layer which is not found in other carburizing treatments, and also to investigate the effect of superposing magnetic field and high frequency current. Through microscope and by X-ray diffraction, the following conclusions have been drawn:(1) Glycerine-25% Potassium acetate is extremely excellent for the carburizing solution, and the caburized layer of 0.2∼0.5 mm can be obtained by 5∼10 min carburization.(2) As for the structure of the carburized quenching layer, the surface shows structure including carbide, residual austenite and martensite, and moreover the inner part shows a martensite structure like fine needles. This is because the surface layer contains a large amount of carbon, and from this it can be estimated that the mechanical properties, especially wear resistance, is excellent.(3) In the carburization the high frequency current has the effect of unifying diffusion. In this case, the frequency of 350 KHz is effective. The magnetic field has the effect of increasing the carburizing ability by 50∼80% on the surface in parallel with the magnetic flux.
著者
北野 義徳 田中 晃 井上 潔彦 船井 貞往
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.70, no.11, pp.3370-3374, 2009 (Released:2010-04-05)
参考文献数
19
被引用文献数
3

症例は82歳,女性.左下腹部痛を主訴に来院.腹部CTでS状結腸にhigh densityな異物像を認め,遊離ガスおよび腹水貯留を認めた.異物によるS状結腸穿孔と診断し,腹膜刺激症状を認めることから緊急開腹術を施行した.S状結腸に5mm大の穿孔を認め,穿孔部直下に異物を触知した.異物を摘出したのち,S状結腸部分切除,人工肛門造設術を施行した.切除標本では穿孔部と連続した部位に憩室が存在し,また術後の問診で柿を種子ごと摂取したことが判明したことから,柿の種子によるS状結腸憩室穿孔と診断した.種子による消化管穿孔は本邦においてこれまで2例の報告しかなく,非常に稀な症例であり,文献的考察を加えて報告する.
著者
松田 裕子 大塚 理恵子 伊藤 剛 小川 郁夫 佐藤 豊 瀧原 道東 加治 弘 迫田 寛人 竹本 寛 松永 義則 森 昭夫 山岡 義生 井上 潔
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.27, no.11, pp.2287-2292, 1985-11-20 (Released:2011-05-09)
参考文献数
6
被引用文献数
2

胃内視鏡検査施行時に1,129例の胃液を採取してpH値を測定し,内視鏡所見との関係を検討した. 内視鏡的に無所見であった353例におけるpH値の分布は,年齢が高くなるにつれて高pH領域へと偏り,加齢による影響を示したが,性別による差異は認められなかった. 胃潰瘍225例のpH値分布は無所見群のpH値分布と類似していたが,十二指腸潰瘍160例は無所見群や胃潰瘍群よりも低pH値領域に偏った分布を示し,この傾向は高齢者においてなお著明であった. 胃潰瘍および十二指腸潰瘍において,病変が活動期である時は胃液はより低pH値を,病変が瘢痕期である時はより高pH値を示したが,十二指腸潰瘍では瘢痕期においてもなお無所見群よりも明らかに低pH値にとどまった. 本法は被検者に苦痛を与えることなく,多数例に反復施行が可能であり,胃の形態と機能の両面から同時に観察することができ,臨床上有用であると考えられた.
著者
小川 和夫 井上 潔
出版者
The Japanese Society of Fish Pathology
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.15-20, 1997-03-15
被引用文献数
16 23

稚魚期から出荷サイズまで同一魚群の養殖トラフグのヘテロボツリウム寄生を1年半にわたり隔月に調べた。寄生虫は初め鰓弁に認められたが, 鰓から鰓腔壁に移動した後に成熟した。夏では寿命は6カ月以内と推定された。寄生率と寄生数は季節や宿主固体差による変動が大きかったが, 水温上昇とともに増加傾向がみられた。魚によって, 鰓や鰓腔壁の寄生数に有意な左右差がみられる場合があり, 極端な場合, 虫体は片側にのみ偏在した。本観察例では寄生数が比較的低かったため, ヘテロボツリウム寄生は血液性状にはあまり影響しなかった。
著者
中野 平二 河邉 博 梅沢 敏 桃山 和夫 平岡 三登里 井上 潔 大迫 典久
出版者
日本魚病学会
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.135-139, 1994-06-15 (Released:2009-10-26)
参考文献数
4
被引用文献数
46 121

1. 1993年に西日本で発生した養殖クルマエビの大量死に関連してクルマエビ養殖を行っている17県を対象に, その発生状況を調べるとともに, 病エビを用いて感染実験を行った。2. 大量死の発生は中国産種苗の導入と密接に関連していた。3. 死亡率は発生例の約8割が80%以上であり, 死亡エビのサイズは0.01g~22.5gと範囲は広かった。4. 大量死の原因と考えられるような細菌, 真菌, 寄生虫は検出できなかった。5. 自然発症及び実験感染クルマエビの磨砕濾液の筋肉内注射によりクルマエビは容易に死亡し, 死亡エビは自然発症個体と同様の症状を呈した。6. 以上の結果より, 今回の大量死の原因としては濾過性病原体が強く疑われ, それは中国産クルマエビとともに日本に持ち込まれたものと推定された。
著者
桃山 和夫 平岡 三登里 中野 平二 河邉 博 井上 潔 大迫 典久
出版者
日本魚病学会
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.141-148, 1994-06-15 (Released:2009-10-26)
参考文献数
13
被引用文献数
21 54

1. 1993年に西日本で発生した養殖クルマエビの大量死に関連して, 自然発症個体, 実験感染個体および輸入直後の採材個体について病理組織観察を行った。2. 自然発症および実験感染個体の間で症状に差は認められず, 両者は同一の疾病であると判断された。3. 病エビの肉眼的主な異常な体色の赤変ないし褪色と外骨格における大きさ数mm以下の白点の形成であった。4. 白点は基本的には外骨格標本の薄い透明層とその直下の外骨格内のやや厚い不透明層とから構成されていた。5. 本疾病の病理組織像は皮下組織をはじめ, 中・外胚葉起源の様々な組織における種々の細胞の核の肥大と無構造化を伴う細胞の変性によって特徴づけられた。6. 本疾病はクルマエビ属エビ類の新しい疾病であると考えられ, その原因としては濾過性病原体が疑われた。7. 中国から輸入翌日に採材されたクルマエビに本疾病の特徴的病理組織像が明瞭に観察され注目された。