著者
澁谷 栄 山内 繁 桐越 和子 谷田貝 光克
出版者
一般社団法人 日本木材学会
雑誌
木材学会誌 (ISSN:00214795)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.17-27, 2018-01-25 (Released:2018-01-28)
参考文献数
33
被引用文献数
1

木酢液類の消臭剤としての機序を検討するため,中和した木酢液類を用いて消臭試験を行い,原液との比較から悪臭原因物質の削減効果を化学的に考察した。本研究ではナラ,ウバメガシ,モウソウチクから得られる3種類の木酢液類(順に黒炭木酢液,白炭木酢液,竹酢液と呼ぶ)を水酸化ナトリウムで中和して用いた。代表的な5つの悪臭原因化合物を対象として消臭試験を行った。アンモニアに対する消臭効果は,原液よりは低くなるが,いずれの中和木酢液類でも明確に確認された。トリメチルアミンでも同様に各中和木酢液類で消臭効果が確認されたが,白炭木酢液では効果の低下が著しかった。硫化水素ではいずれの木酢液類についても,メチルメルカプタンでは黒炭木酢液と竹酢液で,中和により消臭効果の増加が認められた。また,中和によって,木酢液類から放散するアセトアルデヒドの量が大幅に抑制されることが示された。