著者
桑原 知佳 柴 喜崇 坂本 美喜 佐藤 春彦 金子 誠喜
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.38, no.7, pp.505-515, 2011-12-20 (Released:2018-08-25)
参考文献数
22

【目的】発達に伴い変化する背臥位からの立ち上がり動作の完成までの,動作パターンおよび動作所要時間の変化を縦断的に調査し,発達に伴う健常児の立ち上がり動作の変遷を明らかにする。【方法】健常児11名を対象とし,平均年齢4歳0ヵ月から1年ごとに6年間継続して立ち上がり動作を観察し,動作パターン,個人内の動作パターンの一致率,動作所要時間の変化を調査した。【結果】立ち上がり動作パターンは,階段状に難易度が高い動作に変化し,8歳10ヵ月以降変化が生じなかった。動作が変化した時期には,個人内でも様々な動作パターンが観察された。また,動作所要時間は発達に伴い短くなり,動作パターンの変化が終了後も短くなった。【結論】縦断調査により,立ち上がり動作は,非線形に変化をしながら9歳頃に完成することが明らかになった。動作獲得においては,個人内・個人間の多様性に富み,個々に適切な動作を選択しながら発達していくことが示唆された。