著者
張 婧 梁 庭昌
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングレビュー (ISSN:24350443)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.51-58, 2023-02-28 (Released:2023-02-28)
参考文献数
21

本研究の目的はCOVID-19がビジネス環境にもたらした変化の中で,どのような要因が顧客感情を生み出すか,顧客感情がどのようにサービス経験に影響を及ぼすかを明らかにすることである。自由記述式質問を中心としたアンケート調査を実施し,顧客の実体験のデータを入手した。定性分析と定量分析を組み合わせて分析を行った結果,(1)顧客の感情種類(被支配的,覚醒的,快楽的)によって,サービス経験への印象が異なること,(2)快楽的感情がサービス経験への印象に及ぼす向上効果は,感情強の場合により顕著であること,そして,(3)COVID-19に対して企業と顧客のどちらか一方の対応があり,もう一方の対応がない場合,サービス経験への印象が低下しやすいことが分かった。以上の発見事実に基づいて,COVID-19環境下における企業のマーケティング活動に実践的示唆を示した。
著者
田原 静 張 婧 梁 庭昌 村松 潤一
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングレビュー (ISSN:24350443)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.12-19, 2022-02-28 (Released:2022-02-28)
参考文献数
18

消費者個人が携帯端末上のサービスを利用することに伴って発生するパーソナルデータの多様化に伴い,企業によるデータ取得と乱用が問題化する中,両者を仲介し問題解決を目指す仕組みとして情報信託制度の検討・整備が進められている。本研究はこの制度について取り上げ,それが消費者にどのように認知され受容されるのか,そして問題解決となるのかを,制度的課題は何かという視点から明らかにする。価値共創の視点を取り入れた調査結果をもとに,現行の制度がコミュニケーションを視野に入れていない一方通行の仕組みであることの問題点を指摘した。本研究の調査結果に基づくならば双方向の形にするとともに,消費者(顧客)と企業による価値共創的な仕組みにすべきであるという結論を示した。