著者
村松 潤一
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.6-24, 2017-09-29 (Released:2020-02-25)
参考文献数
43
被引用文献数
6 1

サービスをプロセスとして捉えるS-Dロジックが提示されてから,かなりの時間が過ぎた。しかし,S-Dロジックが求めた新たなマーケティングは未だその姿が明らかとなっていない。一方,もともとサービスをプロセスとして理解してきたのが北欧学派であり,Sロジックである。そこで,両者からの示唆を得ながら新たなマーケティングについて考察することを本稿の目的とした。その結果,消費プロセスで文脈価値を高めるマーケティングを新たに価値共創マーケティングと呼ぶことにし,伝統的マーケティング,類似概念との対比を試みた。次に,それがどのような意義を持ち,その実践がどのような成果を生むかについて議論し,若干の典型的な事例をみることで,4Cアプローチ,文脈マネジメントといった独自の考え方を示すと共に,価値共創マーケティングを推進する企業システムについても言及した。
著者
田原 静 張 婧 梁 庭昌 村松 潤一
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングレビュー (ISSN:24350443)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.12-19, 2022-02-28 (Released:2022-02-28)
参考文献数
18

消費者個人が携帯端末上のサービスを利用することに伴って発生するパーソナルデータの多様化に伴い,企業によるデータ取得と乱用が問題化する中,両者を仲介し問題解決を目指す仕組みとして情報信託制度の検討・整備が進められている。本研究はこの制度について取り上げ,それが消費者にどのように認知され受容されるのか,そして問題解決となるのかを,制度的課題は何かという視点から明らかにする。価値共創の視点を取り入れた調査結果をもとに,現行の制度がコミュニケーションを視野に入れていない一方通行の仕組みであることの問題点を指摘した。本研究の調査結果に基づくならば双方向の形にするとともに,消費者(顧客)と企業による価値共創的な仕組みにすべきであるという結論を示した。
著者
村松 潤一
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は、これまでのマーケティング研究があまり関心を寄せてこなかった交換後の顧客の消費プロセスに焦点をあて、そこで展開される企業のマーケティングを価値共創という視点から解明した。具体的には、サービス業、小売業、消費財製造業、生産財製造業について調査し、企業は顧客と直接的な相互作用を通じて顧客にとっての価値を共創していることが示された。これらの事実は、これまで見落とされてきたものであり、今後のマーケティング研究にとって新たな知見となる。
著者
村松 潤一 井上 善海 盧 濤 原口 恭彦 奥居 正樹 加藤 厚海 秋山 高志 上林 憲雄 三崎 秀央 柯 麗華
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

発展著しい中国には早くから日本企業が進出し、製造業を中心とした産業集積が形成されてきた。本調査研究は、そうした産業集積に焦点をあて、メーカーとサプライヤーがどのような関係を構築しているか、また、その基盤としての組織内マネジメントがどのようになされているかについて現地調査した。その結果、日系企業間での強い結びつき、また、日系企業の人的資源管理はプロセスコントロールを重視していることが明らかとなった。
著者
村松 潤一 柯 麗華
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

中国において日本型自動車流通システムは高く評価されている。本研究は、その背景と実態を中国の自動車産業政策及び自動車流通政策に焦点をあて、日系企業の戦略行動との関係から検討した。それによれば、中国の政策は、第1に日本型自動車流通システムの普及、第2に意図しない差異という重要な変化をもたらした。そして、この意図しない差異には、ふたつの自動車流通システムへの参画及び卸売り機能の外部化が含まれている。