著者
有馬 多久充 梁 葉飛 森田 愛子
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第21回大会
巻号頁・発行日
pp.83, 2023 (Released:2023-10-18)

内声化は頭の中で文章を音読する活動のことであり,内声化中に聞こえる声の種類や鮮明さには個人差がある。本研究では,大学生を対象に挿絵の有無 (研究1) や会話主の種類 (研究2) が,内声化の具象性にどのような影響を与えるか検討を行った。研究1では,挿絵の有無を操作した文章の読解後に,研究2では,文章の会話主 (人間・人間以外) を操作した文章の読解後に,内声化量と内声化の具象性について評定を求めた。その結果,研究1では,挿絵なし条件では,登場人物に合わせた声での内声化や声の使い分けがやや行われにくかった。研究2では,人間以外が会話主である条件では,文章によって内声化時の声の種類数が変化する人が多かった。これらの結果から,個人の内声化のしかたは一貫しているわけではなく,聞こえている声の種類数は文章によって変化しており,会話主の種類といった文章の特性によって変化のしかたが異なることが明らかとなった。