著者
梅本 孝
出版者
静岡産業大学
雑誌
静岡産業大学国際情報学部研究紀要
巻号頁・発行日
vol.1, pp.1-7, 1999-03-31

ブリコラージュはフランス語で「素人仕事」などと訳されることばですが、人類学の世界でレヴィーストロースが「野生の思考」の中で専門用語として使っています。ブリコラージュは誤解を恐れずに言えば、近代科学に対する原始的科学、あるいは、科学に対する非科学、数学のような自然科学に対する文学のような人文科学、科学的分類に対する非科学的分類などと大いに関係を持っています。もっと単純化して言えばブリコラージュは「専門家ではない素人の(一見)単純な、素直な発想の仕方」と言えます。日本語や英語のことば使いを見る限り、このブリコラージュの発想法、或は、発想のレベルが専門家の発想法よりも大事なことがあります。以下にいくつか、その発想と関係がある例を挙げます。1-雷は上がらないで、「落ちる」。雷は実際には雲から発生した放電が地面に近づき、開けた平地では地面から2、3メートルの高さになったときに地面から上向きの放電が飛び出してくることが多いと言うことです。つまり、地表近くでは、雷は「落ちる」のではなく、「上がる」。しかし、「落雷」とは言っても「昇雷」などとは冗談でない限り言わない。このことから言えることは、言語は事実に基いているというよりは事実だと思っていることに基いていると考えるべきだということです。2-民間分類「雑草」などという分類の仕方は植物学の専門家が厳密な分類法に基いて、したものではないようです。そんな、項目は植物学の本には載っていません。。しかし、実際には「雑草」ということばはあるし、この項目は人々の生活の中で、有効な項目であると言えます。一般に科学的と言われる分類よりもこういった分類の仕方の方が、生活の役に立つこともあるし、直感に合っていることもあります。くじらはいわゆる科学的分類では魚の仲間ではないにも拘わらず、「さかな偏(へん)」を使っていることなどが思い起こされます。3-なぞなぞ (ア)「黒と白で、その上全体が赤いものなあに?」(イ)「かわけばかわくほどぬれるものなあに?」2つとも論理的に考えれば答えが見つかるはずがありません。しかし、論理的に考えてすぐ答えが見つかるようでは、なぞなぞとは言えません。又、なぞなぞというものを持ち出さなくとも、ことばの上で矛盾した使い方はいくらでも見つかります。例えば、「負けるが勝ち」、「甘い苦味」など。更に、諺(或はその類)どうしが矛盾することもよくあります。例えば、「渡る世間は鬼ばかり」と「渡る世間に鬼はなし」など。こういったことを考えあわせると、人間の認識の仕方や、それを反映していると考えられることばの使い方は理詰めで考えていくことは寧ろ、害になることがあります。
著者
須部 宗生 梅本 孝
出版者
静岡産業大学
雑誌
環境と経営 (ISSN:13415174)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.141-155, 2004-06
被引用文献数
1
著者
須部 宗生 梅本 孝 浅間 正通 山下 巌
出版者
静岡産業大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

2ヵ年にわたる本研究の最終年度にあたる平成22年度においては、昨年度に行った海外小学校英語教育視察調査の結果を書籍にまとめ、その成果を広く世に問うことを目指した。書籍の刊行に関しては、須部が中国、梅本がタイ、淺間がアイスランド、山下がフィンランドを担当し、それぞれ各国の特性を活かした英語授業活動を具体的に詳述した。分担者の淺間は、編集責任者として各々の原稿の細部に至るまで目を配り、日本の小学校英語教員にとって有意義な提言となるべく配慮を施した。既にすべての原稿提出、校正作業も完了し、現在は出版社との最終調整の段階に至り出版を待つのみである。研究代表者の須部は、磐田市教育委員会からの要請に応え、本研究従事者らによる、リレー形式の、小学校英語教員を対象とした講演活動を企画中であり、平成23年夏における書籍刊行と共に、当活動を実施していく予定である。具体的には、須部が第一回目を、第二回目を淺間が、第三回目を梅本が、そして第四回目を山下が担当し、それぞれが視察調査を行った国から得たティーチングチップスを豊富に盛り込むことによって、小学校英語担当教員にとって即戦力となるような講演内容を心がけるつもりである。また分担者の山下は、静岡県西部英語教育研究会の招聘により、高校の英語教員を対象に『フィンランド縦型コンプリヘンシブスクールにおける英語教育事情』と題した講演を行った。さらに、愛知県大府市の依頼を受け十月に、小学生親子を対象とした自然体験教養講座『かんたん英語でウォークラリー』を実施し本研究の成果の一端を紹介した。今後も本研究を契機として様々な困難が予想される小学校英語活動の動向を注視し、さらなる提言を試みるために新たな研究に着手していきたい。