著者
梅村 想 山崎 正禎 高橋 雄 松本 勝久 宮村 正典
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.422-425, 2011 (Released:2011-06-24)
参考文献数
10
被引用文献数
1 3

症例は40歳男性である.高熱が持続し5日後に意識障害,痙攣重積をきたした.インフルエンザ抗原検査は陰性であったが,RT-PCR法による咽頭ぬぐい液のpandemic(H1N1)2009インフルエンザ(A[H1N1]pdm)が陽性であったため,A(H1N1)pdm脳症と診断した.経過中にMRIで出現した右視床および大脳皮質に散在する異常信号域は症状の改善とともに消失し,また当初みられた血清/髄液中のインターロイキン6高値も減少した.A(H1N1)pdmは健康な成人でも脳症を発症する危険性があること,およびインフルエンザ抗原検査は精度に限界があることに留意すべきである.