著者
梅林 郁子
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
お茶の水音楽論集 (ISSN:1344672X)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.74-91, 2004-04

本研究は、ルドルフ・シュタイナーRudolf Steiner(1861〔クラリエヴェック〕-1925〔ドルナッハ〕)独自の音楽理論のうち、特に長・短調、及び音程における考察を目的とする。
著者
梅林 郁子 ウメバヤシ イクコ UMEBAYASHI Ikuko
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学教育学部研究紀要. 人文・社会科学編 (ISSN:03896684)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.55-68, 2012

19世紀の作曲者フーゴー・ヴォルフ Hugo Wolf(1860–1903)は、歌手のフリーダ・ツェルニー Frieda Zerny(1864–1917)と、一時期恋人として親しい関係にあり、ヴォルフからツェルニーに宛てた書簡は、全51通が残されている。本研究は、この書簡のうち前半31通について考察した梅林2012に引き続き、二人の恋愛関係が終わった1894年7月から1895年8月にかけての、後半20通の簡内容を対象として、二人の音楽的な相互関係を中心に、ヴォルフを取り巻く音楽的環境を考察するものである。ツェルニーとの恋愛が順調だったときには、その関係が互いの演奏活動に影響することはあっても、直接にヴォルフの創作活動に結びつくことはなかった。むしろヴォルフは、恋愛の後、再び創作に気持ちが向くなかで、ツェルニーが歌手として成功していく過程を見、自分も創作の場で成功を収めたいという強い気持ちを抱き、それがオペラ《お代官様 Der Corregidor》(1896)や、そのすぐ後に続く、晩年のリート作曲期へ繋がったと考えるべきである。こうしてツェルニーは、ヴォルフの1895年以降の創作活動において、創作意欲を喚起するという意味で、非常に強い影響を及ぼした人物と捉えられるのである。