著者
木嶋 晶子 西野 洋 梅田 二郎 片岡 葉子
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.56, no.11, pp.1397-1402, 2007-11-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
36
被引用文献数
1

第1例:24歳女性.歯科治療8時間後,全身に膨疹出現.第2例:23歳女性.歯科治療30分後,全身に膨疹出現.2例ともホルムアルデヒドのプリックテストは陰性であったがホルムアルデヒド特異的IgE RASTが高値でありホルムアルデヒドによる即時型アレルギーと診断した.ホルムアルデヒドは歯根管治療に広く用いられているが,即時型アレルギーの原因物質としての認知度は低い.その特徴として,アナフィラキシー等の重篤な症状が多いこと,通常の即時型反応より発症が遅いこと,また,プリックテストの陽性率が一定せず,診断に苦慮する場合があるなどが挙げられる.過去の報告例を検討した結果,本症の診断において,ホルムアルデヒド特異的IgE RASTが,プリックテストと比較して,感度,特異度ともに優れた検査法であり,自験例の如くプリックテスト陰性例でも簡便に的確で迅速な診断が可能であると考えられたため報告する.