- 著者
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前田 七瀬
猿丸 朋久
木嶋 晶子
吉田 直美
西野 洋
片岡 葉子
- 出版者
- 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
- 雑誌
- 皮膚の科学 (ISSN:13471813)
- 巻号頁・発行日
- vol.8, no.Suppl.12, pp.B707-B712, 2009 (Released:2012-04-18)
- 参考文献数
- 3
- 被引用文献数
-
1
13歳,男児。幼少時より重症アトピー性皮膚炎(AD)にて加療していたが,9才時,アスペルガー障害,発達障害と診断された。その後も両親の離婚や母親が精神状態不安定であり,スキンケアが十分に行えず,入退院を繰り返していた。経過中にパニックを発症し,自己欲求が満たされない際・他人と衝突した際などに,周囲への暴力行為・自傷行為に至り,精神的に非常に不安定となった。児童精神科医からパニック時の対処法の指導を受け,併診しながら加療を続けた。我々の本人への対応として,(1)パニック時は周囲に害が及ばないように配慮した。(2)話を傾聴し,支持した。(3)努力を誉めることを重視した。(4)不適切な行動は明瞭に指摘し,指導を行った。(5)理解しやすいように,あいまいな表現にならないように努めた。ADの治療に関しては,ステロイド外用指導には,図を用いてわかりやすく説明した。頻回に通院し,治療へのモチベーションをあげるようにした。この対応により,徐々に精神的に安定したことで,パニックを起こさないようになり,皮膚症状も軽快した。精神的な状態によって,ストレスによる掻破やセルフコントロールの不備が生じ,皮膚症状が大きく左右されるため,精神面の安定および適切な適応のサポートは,本児の日常生活のみでなく,皮膚炎を改善させる上でも非常に重要な因子であった。成長と共に生じた問題とその対応について報告する。