著者
梅田 和徳 奥田 研爾
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.237-243, 2009 (Released:2009-10-10)
参考文献数
7

pH 8.8二酸化塩素系消毒薬は,安定化二酸化塩素を主成分とする消毒液である.我々はこの消毒剤の各種微生物に対する殺菌・静菌効果を明らかにして来た.しかし,開発した二酸化塩素系消毒剤はpH 8.8のアルカリ性の液であるため,皮膚等に頻回塗布すると,痛み,発赤,痒みなどの症状が出現する.酸性の電解水により,pH 8.8の二酸化塩素系消毒剤を中性にすることで,皮膚刺激症状を回避し,その殺菌効果を保持することができるか否かを検討した.中性化したpH 7.2二酸化塩素系消毒剤とP. aeruginosa, S. aureus, C. albicans, S. marcescens, MRSAの微生物を反応させた場合,5分間で菌数が検出限界以下になり,強い殺菌効果を持つことが明らかになった.また実際に使用する4倍の高い濃度でモルモットを用いた皮膚刺激性試験においても,pH 7.2二酸化塩素系消毒剤による発赤等の副反応は見られなかった.   このように中性に調整した二酸化塩素系消毒剤(3000 ppm含有)は安全性が高く,刺激臭も無いため,病院内・介護施設等における医療現場への応用への新しい消毒剤として大変有望であると考えられる.
著者
梅田 和徳
出版者
公益社団法人 日本口腔インプラント学会
雑誌
日本口腔インプラント学会誌 (ISSN:09146695)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.325-329, 2020

<p>デジタルデンティストリーは,歯科治療のクオリティや安全性を向上させ,歯科医業のワークフローそのものをスピーディーかつ根本的に変化させている.</p><p>インプラント治療においては,デジタライゼーションされたことで事前情報の活用範囲は一気に広がり,治療プロトコールが大きく変化し,治療期間は短縮し手術回数が減り,低侵襲治療を実現できている.修復や補綴の分野では強度がある審美性の高い材料の出現で,健全歯質へのダメージを減らすことができた.アライナー矯正の分野は,口腔内スキャナーを使用したデジタルデータでアライナー作製を行っている.さらにはそのデータを加工し,患者へのプレゼンテーションにも活用し始めている.</p><p>今後さらにデジタル化が進むと,歯科医師の役割そのものを考え直すことが必要になってくるようになるかもしれない.</p>