著者
梶川 浩太郎 大内 幸雄
出版者
東京工業大学
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
1999

近接場領域での非線形分光を実現することは、短時間で高感度な検出が可能な光学系が求められる。そのため、前回我々が報告したように近接場領域における非線形光学の観察には繰り返し周波数の高い超短パルスレーザーが用いられてきたが、数10ヘルツ程度の繰り返し周波数で10ナノ秒程度のパルス幅を持つレーザー光を用いた近接場領域における非線形光学の観察例はほとんどない。本研究では10ナノ秒程度のパルス幅を持つTiSaレーザーを用いた近接場光学顕微鏡を構築した。超短パルスレーザーでは問題となる光ファイバ中におけるパルス光のひろがりなどの問題が気にならないこと、イルミネーションモードを用いることが可能であること、レーザーの単色性がよく広い波長領域(λ=690-1000nm)でレーザー発振が安定であるため分光測定に適していること、レーザーの構成が単純であり光学系に特殊な技術を必要としない、などの利点がある。実験に用いた光源はNd:YAGレーザー励起のTiSa:レーザーを用いた。パルス幅は約10-15nsであり繰り返し周波数は10Hzと非常に低いため、SHGによる近接場光学顕微鏡像は難しい。そのため、試料形状はHeNeレーザー光などを用いて通常の線形光学像として観察をおこない、注目した領域をSHG観察する構成である。ナノ秒程度のパルス幅を持つレーザー光を用いることには以下の利点がある。この顕微鏡の構築が終了し、その性能を確かめるために有機色素分子の集合体の観察を行っている。