著者
黒田 淳子 藤中 俊之 中村 元 西田 武生 梶川 隆一郎 芝野 克彦 吉峰 俊樹
出版者
特定非営利活動法人 日本脳神経血管内治療学会
雑誌
Journal of Neuroendovascular Therapy (ISSN:18824072)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.106-111, 2011 (Released:2012-01-05)
参考文献数
16
被引用文献数
1

【目的】bare platinum coilを用いた脳動脈瘤塞栓術(BC群)とbioacitive coilを用いた脳動脈瘤塞栓術(BAC群)の治療成績を比較し,bioactive coilの安全性および再開通予防効果について検討した.【方法】当院にて2007年1月~2009年12月までに動脈瘤瘤内塞栓術を行い,術後1年以内にfollow upの血管造影検査を行った破裂/未破裂脳動脈瘤を対象とし,治療直後およびfollow upでの塞栓状況,動脈瘤頚部での内皮新生を示唆するwhite collar signの有無,術後MRI DWIでの微小脳梗塞の有無について比較検討を行った.【結果】follow upの血管造影検査施行時に,治療直後と比べ塞栓状況が改善されたものはBC群で9.38%,BAC群で15.8%であり,有意差は認められないものの(p=0.58),BAC群で多い傾向にあった.また,動脈瘤ネック部分の内膜新生を示唆すると考えられているwhite collar signの有無に関しては,BC群の6.3%,BAC群の26.3%にみられ,有意差は認められないもののBAC群で多い傾向にあった(p=0.13).しかし,術後の微小梗塞はBA群よりも多い傾向にあり,血栓性合併症に対しては十分な注意が必要である.〈第26回日本脳神経血管内治療学会学術総会優秀演題推薦論文〉