著者
森 尚彫
出版者
保健医療学学会
雑誌
保健医療学雑誌 (ISSN:21850399)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.15-23, 2015-04-01 (Released:2015-04-01)
参考文献数
17
被引用文献数
7 2

我が国で最初の人工内耳手術が1985 年に行われてから30 年が経過し,人工内耳装用者数は1万人以上になっている.人工内耳は,補聴器での装用効果が不十分な高度難聴に対して有効であり,人工内耳の装用効果が得られているが,騒音下の聴取等人工内耳の聴こえには限界があり,今後検討すべき課題もある.本稿では,人工内耳のしくみや歴史,人工内耳の現状や問題点を解説し,特に,人工内耳の適応基準の改訂等によって,今後増加が予想される小児の両側人工内耳や人工内耳と補聴器の両耳装用の効果,人工内耳装用児の通常学級へのインテグレーション等に関する検討を行った.さらに,聴覚障害,人工内耳に関わる言語聴覚士の役割について考察した.
著者
川崎 美香 森 壽子 森 尚彫 黒田 生子 藤本 政明
出版者
一般社団法人 日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.47-57, 2009 (Released:2009-05-20)
参考文献数
25
被引用文献数
1

発見年齢が異なり, CI装用年齢にも差がある進行性難聴児2例を対象に, CI装用後の言語や認知諸能力の獲得過程を追跡・調査し, 進行性難聴児固有の問題, CI装用効果, 言語指導上の留意点や言語聴覚士の役割を考察し以下の知見を得た。1. 2例の経過から, 進行性難聴児に対するCI装用は有効であった。3歳6ヵ月でのCI装用効果は高かったが, 6歳11ヵ月でのCI装用でも効果があった。2. 進行性難聴児の発見直後から指導を行う言語聴覚士は, できるだけ早期に個々のこどもの言語学習上の問題をみつけ, 言語学習条件を整備し, 適切な言語指導を行うことが必要と考えられた。そのために使用する森式チェックリストは臨床的に有用であった。3. 就学前・就学後に体系的言語訓練プログラムに従った言語指導を一定期間実施することで, 9歳時までに言語・認知諸能力を年齢相応に獲得させることができた。
著者
中谷 謙 倉澤 茂樹 森 尚彫 不破 真也 酒井 希代江 森岡 悦子 中俣 恵美 大歳 太郎
出版者
保健医療学学会
雑誌
保健医療学雑誌 (ISSN:21850399)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.77-84, 2018-10-01 (Released:2018-10-01)
参考文献数
18

特別支援学校における専門職種の就業状況を把握することを目的として,全国の特別支援学校を対象に質問紙法による調査を実施し,言語聴覚士の就業状況に焦点をあてて検討した.就業状況,実働時間,学校の区分や特性等との関連性について解析した結果,言語聴覚士は,常勤数・非常勤数,実働時間数ともに少なく,就業状況は,生徒数が多い学校,聴覚障害,小学部において有意に多く,病弱,視覚障害では有意に少なかった.言語聴覚士が特定の学校や区分に集中して実働している状況が推察された.本検討の結果,連携促進のために,言語聴覚士の認知度の向上や言語聴覚療法の対象領域と専門性の理解を促す取り組みが必要と考えられた.