著者
森 覚
出版者
大正大学
雑誌
大正大学大学院研究論集 = Journal of the Graduate School, Taisho University (ISSN:03857816)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.272-270, 2012

学位請求論文審査報告書
著者
森 覚
出版者
大正大学
雑誌
大正大学大学院研究論集 (ISSN:03857816)
巻号頁・発行日
no.31, pp.300-289, 2007-03
著者
森 覚
出版者
大正大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

平成29年度は、仏教絵本の表現に反映された近代仏教研究の学術的知識を読みとるというテーマのもと、1970年代の仏教絵本が表現したブッダの表象について、「変容」という観点から考察した。また、新たな着眼点として、近代文学との関連性、キリスト教からの影響といった点を視野に入れながら、古代インドの仏教説話であるジャータカ(本生譚)を題材とした絵本をとりあげ、それらの作品が近現代におけるブッダの表象形成に果たした役割を、実証主義的な歴史思想研究が創りあげたブッダ像とは異なる系譜の流れとして探究した。当初の計画では、日本真理運動本部が1950年に刊行した『佛敎聖典おしゃかさま』等の諸作品から、絵本のブッダ像に反映されたプロテスタント自由主義神学と近代仏教の影響関係、キリスト教の聖画を典拠とする仏教絵本の図像表現といった、近代における仏教とキリスト教の結びつきを浮かびあがらせようとした。しかしながら、『こどものくに別冊 おしゃかさま』に見られるキリスト教からの影響については、すでに昨年度、形の文化会機関誌『形の文化研究』第10号へ論文「仏教絵本『こどものくに別冊 おしゃかさま』にみるブッダのイメージ」を掲載することができた。そこで今年度は、日本の仏教絵本に表現されたブッダのイメージから読みとれる近代西洋仏教学の影響を明らかにするというテーマを別視点から取り組むため、仏教保育・口演童話・仏教日曜学校といった児童伝道の領域に考察範囲を設定し、仏教絵本で表現されるブッダ像の「変容」に着目した。また、仏教の教主である釈迦が、小国の王子としてこの世に生まれる以前の前世で為した善行功徳を伝えるインド説話であるジャータカの絵本で表現されたブッダの表象についても読解し、現在の近代仏教史研究で特にクローズアップされる歴史学的観点から捉えるブッダとは異なるイメージが存在していることを指摘しようと考えた。