著者
森㟢 仁美 東 江里夏 竹中 基 室田 浩之
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.130, no.9, pp.2069-2075, 2020-08-20 (Released:2020-08-21)
参考文献数
16

68歳,男性.登山中にオオスズメバチのものと思われる土中の巣を踏み,スズメバチに約50カ所を刺され,アナフィラキシーショックとなった.ドクターヘリが要請され,刺傷約1時間半後にアドレナリン筋注等でショック状態を脱した.刺傷約3時間半後に救急搬送され,救急科より当科を紹介された.刺傷部には紅斑および皮下出血を認め,肝障害,腎障害を認めた.刺傷約15時間後に急速に横紋筋融解症と多臓器不全を生じ,他院に転院し集学的治療が行われたが,刺傷約36時間後に多臓器不全で死亡した.ハチ刺症で臓器障害を来した報告例を検討し,刺傷数や刺傷部の所見,クレアチンキナーゼ値などが重症化の指標となりうると考えた.