著者
室田 浩之
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究では真皮線維芽細胞から神経栄養因子arteminがサブスタンスPによって誘導されることに着目し、その機能を検証した。Arteminはアトピー性皮膚炎病変部真皮に蓄積しており、皮膚末梢神経伸長に関与するとともに末梢神経のTRPV1発現増加に貢献することを確認した。TRPV1はヒスタミン誘導性の痒みに関与するとされるが、実際arteminの受容体(GFRα3)のノックアウトマウスではcompound48/80による掻破行動が生じなかった。Arteminはアレルギー炎症と温度知覚過敏性そう痒に関与する分子と考えられ、新しい痒み治療戦略の標的分子としても期待がよせられる。
著者
室田 浩之 奥田 英右 片山 一朗
出版者
日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.157-164, 2017 (Released:2017-06-30)
参考文献数
28

アトピー性皮膚炎の臨床症状は乳幼児期と学童期以降では臨床症状および経過そして治療反応性が異なる. 学童期以降では痒みが先行し, 掻破部位に慢性皮膚炎/苔癬化病変を形成する. よって痒みの制御が治療において重要である. アトピー性皮膚炎では皮膚の感覚過敏が生じており, 疼痛や温感など通常は痒みに感じない感覚を痒みに感じることがある. この痒み過敏の原因として炎症に伴って生じる皮膚知覚神経の異常な伸長, 神経栄養因子アーテミンの作用, そして中枢神経の増感などが考えられる. 温熱など環境因子によって誘導される痒みの管理にはまず皮膚炎の治療が優先されるべきである. 汗による痒みの対策として, かいた汗を適切に処理することと, 適切な量の汗をかけるように皮膚炎を制御することが大切である. 刺激のみならず, 視覚的刺激や聴覚的刺激も新たな痒みを誘発する. この “伝染する痒み” はアトピー性皮膚炎患者で顕著にみられる. 本稿では痒みの悪化要因と, それらに対する対処方法に関する知見を紹介するとともに過去の論文をレビューする.
著者
寿 順久 小豆澤 宏明 西田 陽子 室田 浩之 片山 一朗 吉川 邦彦
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.1510-1514, 2007

症例は33歳の女性.赤い食品の摂取後に出現する顔面を中心とした膨疹,嘔吐,下痢,呼吸困難などの症状を主訴に来院.紅白蒲鉾の負荷試験にて膨疹の出現を認め,紅色の色素成分であるコチニールのプリックテストにても陽性反応を確認した.さらにコチニールの主成分であるカルミン酸を用いた,プリックテスト,スクラッチテストは共に陽性であったため,本症例をカルミン酸によって誘発された蕁麻疹と診断した.コチニール色素はカイガラムシから抽出される紅色の天然色素で,食品や衣類などの染色に幅広く応用されている.近年コチニール色素が原因と考えられる1型アレルギーの報告が散見されるようになり,その背景に関する考察を加え報告する.