著者
河野 尊臣 平野 直人 森下 泰成
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2016年度日本地球化学会第63回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.220, 2016 (Released:2016-11-09)

南鳥島は無数の海山列が存在する西太平洋上にあるが、地形的に見てどの海山列にも属さず、成因はわかっていない。本研究では、岩石学的、地球化学的手法を用いて溶岩の観察と分析を行い、島を形成した火成活動の起源を明らかにする。南鳥島山麓海底で行われた潜航調査では溶岩流地形、火山丘地形、リッジ地形の3地域で潜航動画の撮影と溶岩の採取が行われた。今回、溶岩の産状・形態の観察、薄片観察を行い、更に岩石のXRF、ICP-MSを用いた全岩組成を分析した。各3地域では枕状溶岩が観察されたが、産状には明確に違いが見られた。岩石はすべてアルカリ玄武岩に分類され、微量元素分析から周囲の海山列とは成因が異なることがわかった。さらに薄片観察、HFS元素を用いた比較から、これら各火山地形の3地域の違いも見られた。以上から、南鳥島では3種類の火成活動があり、ホットスポット火山に見られる盾状期、再生期といった成長過程を示している可能性がある。