著者
厚東 芳樹 森下 純弘
出版者
大妻女子大学人間生活文化研究所
雑誌
人間生活文化研究 (ISSN:21871930)
巻号頁・発行日
vol.2020, no.30, pp.549-559, 2020-01-01 (Released:2020-09-24)
参考文献数
32

本研究では,小学校低学年(2年生)の子どもを対象に,ボール操作を伴わずに相手との駆け引きが存在する鬼遊びゲーム教材「カバディ」の体育授業を実施し,単元内で子どもたちがどのような「戦術の立案」をいくつ考えるのか,また「戦術の実行数」はどうかといったチーム戦術を事例的に検討することで,低学年で「ゴール型」ゲームにつながる戦術学習の導入可能性を明らかにすることを目的とした. まず,態度測定による体育授業診断の結果,男女共に比較的高い評価になった.これより,実施した「カバディ」の単元計画は低学年2年生にとってある程度妥当な内容であったことがわかる.また,「プレイ数」「戦術(ゲーム様相毎も含む)の立案数」「戦術の実行数」は,単元計画や企図した戦術的気づきに関わった内容構成とよく対応していた.これらより,実施した鬼遊びゲーム教材「カバディ」の体育授業は,低学年の子どもたちに戦術学習の「わかる」と「できる」の両面を保証できていた可能性が示唆された.以上のことから,低学年の体育授業でも「ゴール型」ゲームにつながる戦術学習を導入することは可能であることが示唆された.