著者
熊谷 秋三 右田 孝志 花村 茂美 日高 己喜 森山 善彦 佐々木 悠
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.415-421, 1997-08-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
34
被引用文献数
1 2

本研究は, 男子大学生の陸上長距離選手 (n=12) のHDL-cと性ホルモン, SHBG及びOBLA-SPで測定された体力との関連性を横断的に検討ことが目的である.陸上長距離選手のHDL-c水準は高水準 (平均67.8mg/dl) にあったが, 大きな個体差 (44~93mg/d1) が認められた.血中エストラディオール (E2) は, Apo AIとの間に有意な正相関を認めた.遊離テストステロンは, HDL3-c及びApo AIIとの間に有意な正相関を認めた.また, SHBGはHDL-c及びHDL2-cとの間に有意な正の相関を認めた.年令, 体脂肪率, 体脂肪分布尺度および体力と脂質代謝指標との間には, 有意な相関は認めなかった.これらの成績より, トレーニングされた陸上長距離選手においても, 男性ホルモンおよびSHBGのみでなく女性ホルモンもHDL-c代謝に深く関与しており, 有酸素トレーニング状態におけるHDL-c水準の個体間変動に性ホルモンの関与が示唆された.