著者
重政 香代子 森山 浩志
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.549-556, 1999-10-28 (Released:2010-09-09)
参考文献数
10

ヒト顎二腹筋の前腹と後腹を結ぶ中間腱の詳細な形態を検討するためにその形状, 支持組織, 滑液包様構造, 角度, 舌骨からの距離などの観察を行った.前腹側の腱膜形態と中間腱の支持形態をそれぞれ4型に分け, 顎二腹筋の中間腱部分の形状と舌骨との関係についての形態計測学的な評価を行い, 滑液包様構造物が加齢に伴なって増加することを見出した.顎二腹筋の中間腱部分についての教科書の記述は加齢変化を含めて修正の必要がある.
著者
森山 浩志 島田 和幸
雑誌
Facial nerve research (ISSN:0914790X)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.31-33, 2010-01-18
参考文献数
5
被引用文献数
1
著者
塩澤 佳 吉本 信也 三川 信之 森山 浩志 大塚 成人
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.72, no.6, pp.656-661, 2012 (Released:2013-10-10)
参考文献数
20

顔面神経が顔面表情筋にいたる微小解剖,すなわち表情筋における顔面神経末梢枝の分布,交通についてはほとんど報告がない.今回われわれは,顔面表情筋,特に眼輪筋と口輪筋を支配する顔面神経末梢枝の分布と走行について精査を行ったので報告する.対象は日本人の成人解剖体20体の顔面片側20側,平均年齢87.36(60歳~102歳)で,その内訳は男性10体,女10体,左側10例,右側10例である.方法は顔面神経を耳前部皮膚切開より展開し茎乳突孔から同神経本幹を剖出し,末梢枝については,顕微鏡を用いながら表情筋にいたるまで走行を追い観察した.同神経の枝すべてについて観察を行ったが,特に頬骨枝と頬筋枝について眼輪筋と口輪筋への分布を中心にそれぞれの走行,分布について探求した.その結果,頬骨枝は眼輪筋にすべて分布していたが,25体中8体で口輪筋に分布していた.また頬筋枝も全例で口輪筋に分布していたが,25体中5体で眼輪筋への分布を認めた.顔面表情筋のなかでも,特に重要な働きをする眼輪筋と口輪筋は,教科書的には,眼輪筋が顔面神経の側頭枝と頬骨枝,口輪筋が顔面神経の頬筋枝(あるいは頬筋枝と下顎縁枝)が支配神経と記載されている.今回,顔面神経末梢枝の眼輪筋と口輪筋に停止する解剖と走行について精査を行った結果,従来の成書にはない多数の破格が認められ,その運動も代償している可能性が考えられた.