著者
森田 弘行
出版者
北海道文教大学
雑誌
北海道文教大学論集 = Journal of Hokkaido Bunkyo University (ISSN:13454242)
巻号頁・発行日
no.21, pp.17-28, 2020-03-20

新美南吉の「ごんぎつね」は,現在小学校4 年生の国語の教科書にすべて掲載され,数多くの授業実践が行われている.しかしながら,子供たちが教科書で学んでいる「ごんぎつね」は,草稿の「権狐」と,同じものではない.なぜなら,教科書に掲載されている「ごんぎつね」は,鈴木三重吉の添削によって,大幅に改変された「ごん狐」とほぼ同じものだからである.そこで,本論文では「ごんぎつね」「ごん狐」「権狐」の三つの作品を比較,検討しながら,子供の素朴な疑問に焦点を当て,教師に必要な素材研究について論じた.また,新美南吉の生い立ちや生まれ育った愛知県半田市岩滑の地域社会における伝承や歴史などにも言及しながら論を展開した.