著者
高橋 克行 森田 裕人 土用下 和之 丸野 要 宮島 伸宜 酒井 滋
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.90-93, 2001-01-25 (Released:2009-08-24)
参考文献数
15

われわれは術前CODE療法,放射線療法および温熱療法にて切除しえた正岡分類IVb期の浸潤型胸腺腫の1例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.症例は33歳,女性.右前胸部腫瘤を主訴に来院,精査にて浸潤型胸腺腫,肺転移,縦隔臓器浸潤を伴う正岡分類IVb期の診断にて入院,生検にてthymoma, mixed cellular typeと診断された.術前にCODE療法,放射線療法および温熱療法を施行したところ腫瘍は著明に縮小し,拡大胸腺胸腺腫摘出術を施行.腫瘍は大部分が硝子化していた.
著者
森田 裕人
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.18, no.7, pp.638-645, 1996
参考文献数
9
被引用文献数
2

リドカインは気管支鏡検査施行時の麻酔薬として広く一般に使用されている。しかしながら現状では, 検査中に使用されているリドカインの総量にはあまり注意が払われていない。我々は, ジャクソン型噴霧器による麻酔とテフロン樹脂製のカテーテルを気管支鏡の生検鉗子チャンネルに挿入し麻酔することによって, 少量のリドカイン(患者1人あたり平均240mg)で1124症例に生検やブラシ, 洗浄等の気管支鏡検査を施行した。リドカイン中毒を呈した症例は認められなかった。しかし, シースカテーテルを使用しないで麻酔を行う一般的な気管支鏡検査では, いくらかのリドカインは吸引に流入されており, 実際にはリドカインの使用量に差はあるが, 有効に, 気管や気管支への麻酔に使用されたリドカイン量は同じかもしれない。そこで, 我々は, 37歳から81歳までの検査の同意を得た22人について, 同量のリドカインが現実に有効であることを否定するために, 使用されたリドカイン総量とその血漿中濃度について検討した。結果は, 使用されたリドカイン総量, 血漿中リドカイン濃度, ともにシースカテーテルを使用して麻酔した方が使用しない場合より有意に低い結果を得た。テフロン樹脂製のシースカテーテルは気管支鏡麻酔施行時のリドカイン使用量の減量に有効であると結論づけられた。加えて, 気管支鏡検査時の出血やくもりもシースカテーテル先端を気管支鏡内に数mmおさめ, 少量の生理食塩液とリドカインをシースカテーテルより注入することで, 洗い流すとともに咳嗽をおさえ, 新たなる出血を予防し改善される。エピネフリン等の止血薬注入が必要な場合でもシースカテーテルを通して注入すれば, シースカテーテルを使用しない場合よりも, より少量の使用量ですむ。