著者
森野 友介
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.88-101, 2014-07-04 (Released:2014-07-10)
参考文献数
23

スクリーンスケイプはスクリーンの映像だけではなく,その背後にあるさまざまな事象とその構造を含んだ概念である.この概念を用いることで現実の空間とサイバースペースの垣根を越えた研究が可能であり,双方の空間にわたる情報化社会にアプローチすることができる.映像の背後には技術,マーケティング,社会状況,コミュニケーションの4種類の要素がある.本稿では2Dのビデオゲーム空間の視点に注目した分析と聴き取り調査を行うことで,主に技術やマーケティングに関する調査を行った.その結果,コストと技術の制約の中でクリエイターは性能を最大限に活かす努力を行ってきたこと,技術の発展に伴い,ビジネスモデルが複雑化し,マーケティングの影響が徐々に強くなり,ビデオゲームの内容も変化したことが分析できた.このように,技術とマーケティングの影響を受けつつビデオゲームのスクリーンスケイプが発達したことが明らかになった.
著者
森野 友介
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.88-101, 2014

スクリーンスケイプはスクリーンの映像だけではなく,その背後にあるさまざまな事象とその構造を含んだ概念である.この概念を用いることで現実の空間とサイバースペースの垣根を越えた研究が可能であり,双方の空間にわたる情報化社会にアプローチすることができる.映像の背後には技術,マーケティング,社会状況,コミュニケーションの4種類の要素がある.本稿では2Dのビデオゲーム空間の視点に注目した分析と聴き取り調査を行うことで,主に技術やマーケティングに関する調査を行った.その結果,コストと技術の制約の中でクリエイターは性能を最大限に活かす努力を行ってきたこと,技術の発展に伴い,ビジネスモデルが複雑化し,マーケティングの影響が徐々に強くなり,ビデオゲームの内容も変化したことが分析できた.このように,技術とマーケティングの影響を受けつつビデオゲームのスクリーンスケイプが発達したことが明らかになった.
著者
森野 友介
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2012, 2012

「スクリーンスケイプ」はスクリーンに表示された映像から、このような現代社会を読み解いていこうという試みである。スクリーンスケイプとは狭義にはスクリーンに表示された映像そのものを意味するが、広義にはそれを通してつながったヒト、モノ、情報のフローやこれらを抑制、あるいは促進する文脈や技術との関係も含まれる。本研究では狭義のスクリーンスケイプの1つであるスクリーンの映像表現について調査する。本研究では現在のヴァーチャル空間の基礎につながっていると考えられる2Dのビデオゲームの空間を対象に調査を行う。このようなビデオゲームの空間は3DCG技術を利用した擬似3D表現が難しく、高さ、奥行き、幅の3軸のうち2軸を選択した平面で表現されている。そのため、その選択によって視点を分類することが可能であり、2Dのビデオゲームの空間をプレイヤーがみる視点の位置によって4種類に分類した。ファミリーコンピュータ(以下FCとも記す)およびスーパーファミコン(以下SFCとも記す)の2機種で発売されたタイトルを視点とゲームの内容を示すジャンルによって分類し、分析を行うことで、ビデオゲームの空間の特性を明らかにする。 FCおよびSFCで発売されたゲームタイトルを分類、分析した結果、以下のような知見が得られた。ビデオゲームのジャンルにはゲーム機の性能や普及台数による棲み分けや、ヒットタイトルによる特定のジャンルの流行などが見受けられた。視点とハードウェアの性能に注目すると、FCに比べ、性能の向上したSFCでは擬似3D表現が可能な視点の増加していた。また、ジャンルによって利用されている視点に明らかに偏りが存在することから、ゲームの内容に合わせた表現方法が選択されていることが明らかとなった。ビデオゲームの空間は技術的問題から大きく制限されているおり、効果的に視点を選択することによってゲームの空間を表視する必要がある。さらに、表示可能な情報量の少なさをインターフェースや音によって補っている。 スクリーンに表示される映像には必ず作り手が存在する。そのため、技術が進歩した今日でも表現方法の選択は行われており、依然としてヴァーチャル空間はインターフェースや音による補助なしには成り立たない。本研究ではスクリーンスケイプの一部のみを扱っており、情報化の進んだ現代を読み解くためにもより広義のスクリーンスケイプについての研究を進めていく必要がある。