著者
太田 彩子 森長 真一 熊野 有子 山岡 亮平 酒井 聡樹
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.234, 2004

これまでの研究では、集団間では送粉者が異なることによって、花の香りが異なることが知られている。しかし、花の香りは以下の要因でも変化しうるのではないだろうか。<br>1. 個体サイズ:個体サイズによって繁殖形質(花冠の大きさ等)が変化することがあるため。<br>2. 花齢:訪花要求量が変化するため。<br>3. 昼夜:送粉者が変化することがあるため。<br>そこで本研究では、花の香りが個体サイズ・時間(花齢・昼夜)に依存して変化するのかどうかを調査した。今回は、香りの強さに特に着目して解析を行った。<br>・ 実験方法<br>ヤマユリ(ユリ科・花寿命約7日)を用いて以下の調査を行った。<br>1. 香りの個体サイズ依存変化<br>2. 香りの時間依存変化<br>3. 送粉者の昼夜変化<br>4. 繁殖成功(送粉者の違いの影響をみるため、昼/夜のみ袋がけ処理を行い、種子成熟率・花粉放出率を比較)<br>・結果<br>1. 個体サイズが大きいものほど花の香りは強くなる傾向にあった。<br>2. 昼に比べ夜の方が香りは強くなるが、花齢が進むにつれて香りは弱くなる傾向にあった。<br>3. 昼にはカラスアゲハ、夜にはエゾシモフリスズメが訪花していた。<br>4. 種子成熟率・花粉放出率共に、昼夜での違いはなかった。<br> 今後はGC-MSを用いた香りの成分分析を行う予定である。これらの結果を統合することにより、個体サイズ・時間に依存した花の香りの適応戦略を明らかにしていきたい。
著者
森長 真一
出版者
日本大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

シロイヌナズナ属の野生植物であるハクサンハタザオを対象に、現生個体と過去から現在にかけて採取されてきた標本個体の全ゲノム比較を通じて、時空間的に変動する適応遺伝子の網羅的な解析をおこなった。現生個体の解析においては標高適応を担う遺伝子を、標本個体の解析においては時間的な環境変化に対応する適応遺伝子を探索した。これらの解析結果に基づき、集団間にみられる適応遺伝子の機能・種類・数の異同から、環境変化に対する野生植物集団の進化的応答について議論した。