著者
植田 恵理子
出版者
花園大学
雑誌
花園大学社会福祉学部研究紀要 (ISSN:09192042)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.97-109, 2013-03

本稿は、筆者が主催する参加体験型音楽劇「音の絵本」コンサート時に見られた、「協同して、何かを成し遂げる観客の姿勢」から、協同して表現活動に参加するための要因を導き出し、保育現場の活動に生かす方法を示唆するものである。ここでは、音の絵本「西遊記」というコンサートを取り上げ、観客が協力して、生き生きと積極的な表現活動を行った場面を抽出し、その要因となった事項を導き出す。得られた結果を踏まえて構成した、音の絵本「ねえ、おはなししてよ」を、S 幼稚園にて実施したところ、コンサート時と同じように園児たちが協力し、積極的に表現を工夫し合う姿が見られた。以上から、協同的な学びを引き出す音楽活動の一つとして、参加体験型の音楽劇が有効であることがわかった。
著者
植田 恵理子
出版者
花園大学
雑誌
花園大学社会福祉学部研究紀要 (ISSN:09192042)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.37-47, 2012-03

従来から、幼稚園における音楽活動は、協同的な学びが重視されてきた。筆者は、「協同的な学び」を引き出す実践や、子どもたちが、その環境作りに対して積極的に取り組むための条件などに対し、これまでも事例研究を行い、考察と提案を行ってきた。本研究では、大阪府S 市S 幼稚園をフィールドに、音楽活動の事例の中で見られた園児の様子を「協同的な学び」と子どもの「音への気づき」の関連性において考察した。共に音を聞きあう活動や、音を工夫することによって得られる「気づき」を確認する活動などを繰り返すことにより、子どもたちは、音楽を共有するコミュニティを大切にし、音楽活動を楽しく行える環境を作り、整える力を発揮していった。筆者は、子どもの「音への気づき」を大切にした音楽活動が、「協同的な学び」を引き出し、共感しながら学んでいくために必要な環境を、子どもたちが意欲的に作りだすきっかけになることを明らかにした。