著者
植野 晶 渕本 壱真 植野 真臣
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J105-D, no.8, pp.485-498, 2022-08-01

本論文では,項目露出を考慮した整数計画法による等質テストの自動構成手法を提案する.等質テストとはテストに含まれる項目は異なるが,受験者得点の予測誤差が等質なテスト群である.等質テストでは同一能力の受験者ならば,どのテストを受験しても同一得点となる保証があり,出題可能な項目のデータベース(アイテムバンク)から自動構成される.項目の露出数(出題回数)が大きい項目は受験者間で共有されやすく,経年劣化につながりその項目の信頼性が失われやすいため,露出数の偏りの軽減が重要な課題の一つである.Ishii and Ueno (2015) は構成した等質テストを全て保存し,その中から最も露出率(=露出数の最大値/テスト構成数)が小さい等質テストを出力して,露出率を軽減する手法を提案した.本論文では乱数を用いた整数計画法でテスト構成することで,露出数の偏りが改善されることを示し,整数計画法のみでは解決されなかった項目露出のバイアス問題を露出数上位の項目をアイテムバンクから除外しながらテスト構成することで解決する手法を提案する.評価実験では従来手法とテスト構成数及び露出率を比較し,提案手法の有効性を示す.