著者
植野 真臣 植野 真理 相馬 峰高 甲 圭太 山下 裕行
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.217-229, 2006
被引用文献数
4

長岡技術科学大学においてeラーニング授業を正式授業として配信して4年が経過した.2004年現在では,77の授業を配信し,正規通学生以外のeラーニング履修学生は,年間400人以上を超え,正規通学生に対する比率では国内最大規模となっている.本論では,これまで4年間のeラーニング運営の経験を通じて構築されてきた独自のeラーニング・マネジメント手法を「大学におけるeラーニング運営モデル」のひとつとして提案する.本論でのeラーニング・マネジメントの特徴は,1.知識創造を伴う自律的学習を支援するeラーニング授業モデルの導入,2.膨大な学習履歴データを逐次データ・マイニングし,知的エージェントを介して学習者に逐次(学習方法等について)アドバイスするという学習支援機能を持つLMSの利用,3.学習者の履修受付,LMSへの登録等の事務的手続きが完全にオンラインで行われる受付システムの利用,4.特に専門的で高度な技術を必要とせずに自動的に行えるコンテンツ開発支援システムの利用,5.遠隔地からも複数のスタッフによって設定できる遠隔マネジメント・システムの利用,等が挙げられる.これらにより,学習者の満足度を下げることなく,運営スタッフ,教師の負担を減少させながら,eラーニングの実践規模の拡大を実現できたことを示し,本手法の有効性を示す.