著者
鈴木 猛 椎名 実 土屋 芳春 安富 和男 喜島 功 平社 俊之助
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.268-275, 1959

1.千葉八日市場市の農村部落において, 1959年6月1日より7月28日に至る間に, 各種malathion製剤を用いてハエ成虫・幼虫及び蚊幼虫駆除の実地試験を行つた.2.20%malathion乳剤40倍稀釈液か, 0.7%malathion油剤を, 家屋内の天井全面に1m^2あたり27〜42cc撒布することにより, 屋内のハエの棲息密度が著しく減少し, この効果は7〜10日間持続する.なお, ハエの棲息密度判定法として, 屋内に設置したハエとりリボン及びハエとりビンの捕集数は, 高い相関関係にあることを知つた.3.便池のハエ幼虫に対しては, 20%malathionの200倍液を表面積1m^2あたり2l, あるいは1.5%malathion粉剤を1m^2あたり100g撒布することにより, 1日後にほとんどすべての幼虫が死滅したが, 7日後にはかなりの幼虫数の回復が認められた.4.実験的に積んだ堆肥にmalathion製剤を撒布した結果, 20%乳剤200倍液の2l/m^2撒布ではハエの発生防止効果がほとんど認められないにもかゝわらず, 1, 000倍稀釈液の10l/m^2撒布では顕著な効果があることを知つた.また, 1.5%粉剤の100g/m^2撒布では, 対照に比較して, 58.9%のハエを発生させる効果にとどまつた.5.滞水域のアカイエカ幼虫に対して, 20%malathion乳剤を100倍にうすめ, 表面積1m^2あたり100cc撒布すれば, 幼虫は全く死滅し, その後7〜10日はほとんど再発生を認めなかつた.しかしこの量の撒布では, サナギに対する効果はほとんどなかつた.