著者
石原 久代 栃原 きみえ 椙山 藤子
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.33-38, 1985-01-25 (Released:2010-09-30)
参考文献数
10

消費者が被服を選定する場合, その色, 柄, デザイン等が着装者の個性に適合するか否かは, 審美面において重要な問題であるが, 現在のところ理論的に解明された研究は少ない.そこで本研究は, 人の個性を表現する要因の中で顔面の形態的要素を取り上げ, 服装色との関係を官能検査により実験を行い, 因子分析・数量化皿類などの手法を用いて検討した.その結果, 服装色の感情効果は活動性・評価・力量性の因子で表わすことができ, 評価の因子を持つ形容詞対には高明度の色が顔面の形態に関係なくよく調和し, 逆にさえた緑, 黄緑等が調和しにくいという結果になった.また, 個性別では, 活動性・力量性の因子を持つ形容詞対に大きく影響する低明度の色は, 強い個性の人には調和しやすいが, 弱い個性の人には, 調和しにくいという傾向がみられた.なお, 白については, 顔面が整っている人程, 調和しやすいという結果であった.
著者
橋本 令子 加藤 雪枝 椙山 藤子
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.26, no.7, pp.295-301, 1985-07-25 (Released:2010-09-30)
参考文献数
2

本研究は嗜好色, 着用色による色彩の嗜好性と被服を選択する際に考えられるファッション意識との関連性を追及した.嗜好色, 着用色の調査は, 面接調査法を用いて行い, 色の出現率を求め, 色相, トーンによる出現傾向を調べるとともに相関係数, 分散分析によって嗜好色, 着用色の関係を検討した.ファッション意識は, SD法によって評価し, 基本因子を抽出し, 各因子別に色彩の嗜好との関連を調べた.その結果, 嗜好色, 着用色は無彩色の出現率が高く, 色相においては赤, 黄, 青, 緑系, トーンにおいてはl, t, b, v, pトーンが多く出現した.また嗜好色, 着用色に及ぼす色相, トーンの効果は, 色相よりもトーンが大きく影響した.ファッション意識に対する基本因子はファッション関心度, 流行意識, 着用態度, おしゃれ態度, 嗜好性の5つであらわされた.色彩の嗜好と因子別によるファッション意識との関係は, 因子間による差異が小さく, 色彩の嗜好は, ファッション意識の各因子に対して類似した考え方を持っているものと思われた.