著者
椛澤 由博 石川 正美 岡松 孝男
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.7, pp.1104-1109, 1996
被引用文献数
6

腸回転異常症に対する手術の緊急性は,腸軸捻転の程度によって左右される.上部あるいは下部消化管造影検査は,腸回転異常症の診断には欠かせないものではあるが,特に腸軸捻転が強く存在する際には,その診断に難渋し,いたずらに被曝線量を多くしてしまうことがある.すなわち消化管造影のみでは,腸回転異常症と診断されても,腸軸捻転の有無やその程度については十分に判断できないことがある.一方,腹部超音波検査およびカラードップラー検査では,腸軸捻転が存在する場合には,whirlpool sign といわれる上腸間膜動脈を腸管,腸間膜,上腸間膜静脈が取り囲む像をとらえることができた.われわれは,これらの所見は,腸回転異常症における緊急手術の指標になると考える.