著者
吉子 裕二 楠原 征治 石田 一夫
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.123-130, 1987-02-25 (Released:2010-11-26)
参考文献数
21

軟卵産生鶏の大腿骨における骨髄骨の組織学的態度を卵が子宮部に存在する時期について調べ, 正常卵産生鶏の骨髄骨と比較検討した.軟卵産生鶏の骨髄骨は正常卵産生鶏に比べ, 骨髄腔内に過度に形成されていた. これらの骨髄骨は幅が厚く, 基質には不規則に轡曲した層板構造が観察され, 基質内部に埋没する骨小腔の一部は拡張し, 空胞化していた.軟卵産生鶏における骨髄骨の基質組成は, 組織化学的観察によると, 正常卵産生鶏とは逆にコラーゲン線維が多く, 酸性粘液多糖類は少なかった. また, コンタクトミクロラジオグラフィによると, これ骨髄骨は高度に石灰化していた.軟卵産生鶏の骨髄骨表面に出現する破骨細胞は正常卵産生鶏に比べ, 数が少なくまた萎縮したものが多かった. これらの破骨細胞は酸性ホスファターゼおよびコハク酸脱水素酵素活性が弱い傾向を示した.これらのことから, 軟卵産生鶏の骨髄骨では卵殻形成に必要なカルシウムの放出が不活発であることがうかがわれた.
著者
新井 佐知子 伊東 正吾 可知 真奈美 杉山 稔恵 楠原 征治
出版者
日本養豚学会
雑誌
日本養豚学会誌 (ISSN:0913882X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.183-189, 2009-12-25 (Released:2010-04-02)
参考文献数
12
被引用文献数
3 5

豚の運動器疾患で多く見られる脚弱症の原因である骨軟骨症と骨関節症のモデル作成として,5%パパイン液を用いた発生試験と,その臨床症状や軟骨病変の観察を行った。体温や臨床症状は3日ほどで改善したが,軽度の跛行は14日まで観察された。しかし,軟骨の肉眼的な病変は日を追うごとに重篤化し,亀裂や糜爛などの病変の領域は広範囲になった。膝関節へのパパイン液注入の試みは,今後の骨軟骨症や骨関節症による脚弱の診断技術を確立する上で,大きな役割を果たすモデルになりえる可能性が考えられた。