- 著者
-
槇野 茂樹
- 出版者
- 一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
- 雑誌
- 臨床リウマチ (ISSN:09148760)
- 巻号頁・発行日
- vol.23, no.4, pp.255-260, 2011-12-30 (Released:2015-12-30)
- 参考文献数
- 8
RAに伴う肺病変は,RAそのもの,RAの合併病態によるもの,薬剤性,感染性,偶発性などがあり,胸膜,気道,肺実質,肺間質,腫瘤/結節,肺血管などを冒し多彩である.
気道病変は,ろ胞性細気管支炎,閉塞性細気管支炎があり,薬剤性や感染性もある.
実質性病変は感染性肺炎が主体である.一般細菌性肺炎,肺結核,肺真菌症,ニューモシスチス肺炎,サイトメガロウィルス肺炎などがある.RA治療薬の抗TNF-α剤では肺結核,非結核性抗酸菌症が問題になる.
腫瘤/結節性病変では,リウマトイド結節があり腫瘍との鑑別が問題となる.
RAの間質性肺炎の合併は約5%で男性に多い.COP,DAD,UIP,NSIPの4病型が見られる.慢性型ではNSIPよりUIPの方が多くUIPは男性,かつ喫煙者に多いようである.
RA治療薬は薬剤性肺炎を起こしやすく,金剤,MTX,レフルノミドなどで頻度が高いが他の製剤でも起こる.DAD様,COP様など種々のタイプの薬剤性肺炎がみられるが,1つの薬剤で多くのパターンが見られる.
RAに伴う肺病変に対する対応では,治療前スクリーニング,RAに伴う肺病変の管理・治療,治療中の新規肺病変への対応,肺病変を有する患者へのRA治療の対応の4つの局面があり,肺病変の知識を集める,胸部X線を必ずチェックする,呼吸器内科医への相談ルートを確保することが必要と考える.