著者
谷口 知博 槐島 芳徳 松尾 啓史 藤田 進 龍野 利宏
出版者
日本茶業技術協会
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
no.113, pp.81-91, 2012-06

釜炒り茶と煎茶の荒茶カテキンおよびカフェイン含有量に差がなかったが,浸出液では総じて釜炒り茶が煎茶より低く,例えば1~3煎の合計でみた場合カテキンは約30%,カフェインは約20%煎茶に比べ少なかった。煎茶は,浸出条件が異なった場合でも実験区間のカテキンおよびカフェイン含有量に差がみられなかったが,釜炒り茶は浸出時間や60℃~100℃の浸出温度,浸出回数でカテキンおよびカフェイン含有量に差がみられ,粗揉,中揉を加えずに製造された釜炒り茶が最も少ない結果となった。これは,釜炒り茶の内容成分は煎茶よりも溶出しにくく,その理由は茶葉に対し釜炒り茶の製茶工程では煎茶ほど揉圧が加わらないからであり,釜炒り茶の中でも揉圧を加える工程が最も少ない粗揉,中揉を加えずに製造された釜炒り茶でカテキンおよびカフェイン含有量が少ない結果になったことから,茶葉へ揉圧を加える時間の長さがカテキン類およびカフェインの溶出割合へ影響していると考えられる。