- 著者
-
樋之津 史郎
- 出版者
- 日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
- 雑誌
- 日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
- 巻号頁・発行日
- vol.36, no.4, pp.198-201, 2019 (Released:2020-02-21)
- 参考文献数
- 18
FDAでは臨床研究のアウトカム評価(Clinical Outcome Assessment)を以下の様に定義している。「A COA is any assessment that may be influenced by human choices, judgment, or motivation and may support either direct or indirect evidence of treatment benefit.」である。また,COAは4つの要素から構成されており,それらの要素は,Patient-reported outcome (PRO),Clinician-reported outcome (CliRO),Observer-reported outcome (ObsRO)とPerformance outcome (PrefO)である。PROの一つとしてHealth-related quality of life (HROLあるいはHRQOL)がある。近年,医療経済的視点での癌診療評価にQuality-adjusted Life Year (QALY)という概念が導入され,QALYの計算にはEQ-5DなどのQOL調査票を用いて得られたQOLの評価が必須である。しかしながら,QOL評価に対して,生存/死亡のようなハードエンドポイントではないことから,「不確実な測定値」というイメージを持っている臨床医も少なからず存在する。そこで,臨床医のPROやQOLに対する理解を助けることを目的としてQOL調査票作成プロセスについて概説した。今後PROを取り入れた臨床研究計画の際に役立つことを期待している。