著者
佐藤 正典 岡田 長也 後藤 繁文 松山 正佳 宮地 孝 樋口 正人 中鉢 憲賢
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. US, 超音波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.87, pp.31-34, 2003-05-21
被引用文献数
1

200Mev電子ビームを水中に照射すると、チェレンコフ光と同時に音の発生が観測される。従来、この音は水中で減速する電子ビームが発生する熱膨張によると考えられていた。水中の光速より速く進む電子はチェレンコフ光を発生し、音速より速く進む電子はゾニックブーム(衝撃波)を出す可能性がある。我々は、球殼状圧電セラミックの音響センサを用いて、この音を観測した。センサの周波数特性を補正すると、受かった波形は1波長のダイポール波形であった。この波形は、熱を音源とする理論解析結果とよく一致するが、衝撃波の波形とも定性的に一致する。量子力学によれば音波の運動量μは、エネルギーεを音速CAで割ったμ=ε/C_Aであり、この表示は相対論表示と同じ形式になる。したがって、チェレンコフ光と同じメカニズム、すなわち衝撃波による音響放射が起こる可能性がある。