著者
北條 怜子 柘植 一希 樋口 洋子 山初 仁志 加藤 正一 藤尾 拓也 岩崎 泰永 元木 悟
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.137-148, 2017 (Released:2017-06-30)
参考文献数
39
被引用文献数
6

ミニトマトは,リコピンなどの機能性成分を多く含み,日持ち性もよく,食味が優れることから需要が増えている.しかし,慣行栽培(以下,慣行) では,誘引やつる下ろしなどの作業に多くの労力を要することが問題となっており,栽培管理の省力化や軽作業化が図れる栽培技術の開発が望まれている.著者らは,露地のミニトマトの新栽培法として,慣行に比べて疎植にし,側枝をほとんど取り除かない栽培法を,2010年に開発した.その新栽培法は,ソバージュ栽培(以下,ソバージュ)と呼ばれ,全国的に普及し始めているものの,収量や品質,生育などについて慣行と比較検討した報告がない.そこで本研究では,露地夏秋どりミニトマトにおけるソバージュの栽培体系の確立を目指して,品種特性が異なるミニトマト2品種を用い,ソバージュと慣行を2年間にわたって比較検討した.その結果,ソバージュは慣行に比べて株当たりの総収量および可販果収量が多いことが明らかになった.また,単位面積当たりでも,ソバージュは株数が慣行に比べて6分の1程度であるにも関わらず,慣行と同等または同等以上の収量が見込めることが明らかになった.さらに,ソバージュは茎葉の繁茂による日焼け果の軽減効果も認められた.また,糖度は慣行と同等か低い傾向であったが,リコピン含量は慣行と同等か高まる傾向であった.